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特装車の最新情報2023 その②フロントディスチャージミキサー車 | 特殊車両ならトノックス

1.特装車の最新情報2023

この記事では「特装車の最新情報2023年」と題し、特装車にまつわる国交省の動向や最新のテクノロジー情報をピックアップしていきます。

その②では、米国で普及しているミキサー車、フロントディスチャージミキサー車についてご紹介します。

2.フロントディスチャージミキサー車とは

ミキサー車は建設現場で使う生コンクリートを工場から現場まで届ける特装車です。

日本でも建設現場の近くに行くと、小型〜大型トラックがベースのさまざまなミキサー車を見ることができますが、アメリカの建設現場の近くでは、ちょっと日本と違うスタイルのミキサー車が活躍しているようです。日本と真逆の構造を採用した「フロントディスチャージミキサー車」です。

オシュコシュ・コーポレーション(Oshkosh Corporation、オシュコシュ社)のミキサー車 オシュコシュ社公式サイトよりオシュコシュ・コーポレーション(Oshkosh Corporation、オシュコシュ社)の
ミキサー車 オシュコシュ社公式サイトより


「フロントディスチャージミキサー車」は、アメリカで普及しているミキサー車の一種です。車名の「フロントディスチャージ」とは「前側から排出する」という意味で、その名の通り排出口の「シュート※1」、投入口の「ホッパー※2」、「ドラム※3」といった架装物が通常のトラックタイプのミキサー車とは逆向きに搭載されているのが最大の特徴です。

日本でよく見られる通常のトラックタイプ(後ろ側に排出口がある)のミキサー車は「リアディスチャージミキサー車」と呼んで区別しているようです。

なぜ架装部分を逆向きに搭載したのかというと、ズバリ作業性を高めるためです。「シュート」が運転席の真上にあるため、生コンを排出したい位置に車両を取り回すのがものすごく簡単です。通常のトラックタイプだと車両から降りて行なう排出作業も、運転席から行なえるため、ドライバーの負担が少なくてすみます。見た目は奇抜ですが、実はトラックタイプのミキサー車よりも作業性が高いようです。

※1 シュート…シュートは生コンクリート排出時、型枠等に生コンクリートを流し込むための樋(とい)です。左右に回転し、上下の動作も可能となっています。
※2 ホッパー…生コンクリートをドラムに投入する際の投入口で、ミキサー車の後尾上部にあり、輸送時は生コンクリートの品質が落ちないようにカバーをかけます。
※3 ドラム…荷台部分にある、生コンクリートを詰め込む円筒型の容器で、走行中もゆっくりと回転し続けることで、生コンクリートのセメントや砂や砂利といった骨材と水が分離しないように攪拌し品質を維持します。
※オシュコシュ・コーポレーション(Oshkosh Corporation、オシュコシュ社)
オシュコシュ社は、1917年、ウィスコンシン・デュープレックス・オート・カンパニー(Wisconsin Duplex Auto Company)として、4輪駆動トラックの製造を目的として設立されました。

最初に製造された4輪駆動トラックは”オールド・ベッツィー(Old Betsy)”として知られており、現在もオシュコシュ社で保管されています。この車両は現在も走行可能で、デモンストレーションやパレードでしばしば使用されています。

最初に量産された車両は1918年に7台製造された2トントラックの「モデルA」で、その後、3.5トントラックの「モデルB」、5トントラックの「モデルF」が続き、1933年の”モデルTR”は、初めてゴム製タイヤを装着した車両となりました。

1953年にはアメリカ沿岸警備隊向けに、ARFF(Aircraft rescue and firefighting、飛行場で活動する消防車)を開発し、1976年にはアメリカ陸軍から744両のM911戦車運搬車の受注を取り付け、これが現在にいたるまでのアメリカ陸軍・海兵隊との多数の契約のスタートとなります。

現在のオシュコシュ社は、高所作業車などを取り扱う”アクセス・イクイップメント(Access equipment)”部門、軍用トラックや装輪装甲車を扱う”ディフェンス(Defense)”部門、救急車や消防車、レッカー車などを取り扱う”ファイア・アンド・エマージェンシー(Fire and emergency)”部門、民間向けのミキサー車などの特装車やクレーン車などを扱う”コマーシャル(Commercial)”部門の4つの部署より成り立っています。2015年8月25日には、アメリカ軍の進める次期軍用車両の調達・配備計画である「JLTV(Joint Light Tactical Vehicle, 統合軽戦術車両)計画」の車種に、オシュコシュ社のL-ATVが選定されました。

「JLTV」は、は、アメリカ軍向けにAMゼネラルが製造した汎用四輪駆動車・M998、及びその発展型軍用車両で、現在アメリカ軍で広く使用されているハンヴィー(HMMWV: High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle=高機動多用途装輪車両, Humvee)シリーズの後継車種になる事を目的としており、第一弾の契約では約67.5億ドルの予算で17,000両のL-ATVが導入される予定です。最終的には53,582両が総額535億ドルで調達される大型契約となる予定と言われています。