株式会社トノックス|神奈川県の特装車工場

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電着塗装(ED)の特徴とメリット | 特殊車両ならトノックス

トノックスでは、自動車製造会社だからこその塗装方法である、電着塗装(ED)の設備を保有しています。従来のエアスプレー方式に比べて塗装膜厚を時間・電圧等によりコントロールでき、均一な膜厚を生成できます。また、メルセデスベンツをはじめとして、世界の自動車メーカーの承認塗料として指定されている高品質の塗料、ドイツ「STANDOX」社の塗料を使用しています。今回は、電着塗装(ED)の特徴についてご紹介します。


1.電着塗装(ED)とは?

電着塗装(ED=Electro Deposition、電着の意)は、英語でElectrodeposition coatingと言い、電着塗料という電着塗装(ED)専門の塗料が入った水の中に塗装したい物を入れて電気を流して塗装を行う方法です。
塗装したい製品と別の場所それぞれに電極を付けて、プラスとマイナスの電気を流すことで、電気化学反応によって塗料を付着させて塗装します。
塗料自体は水性で、顔料と樹脂がくっついた状態で塗料内に含まれており、この樹脂(樹脂ミセル)がプラスに帯電しているかマイナスに帯電していることで定着します。

電着塗装(Electro Deposition coating)のようす電着塗装(Electro Deposition coating)のようす


2.電着塗装(ED)の特徴

電着塗装(ED)は、塗装の効率が95%以上と非常に優れた定着性を持ち、全自動化と大量生産が可能というところに大きな特徴があります。塗料の突き周りは良く、袋状の構造でも均一の塗膜を隙間なく塗装することが出来ます。主なメリットとしては次のようなものが挙げられます。

電着塗装のメリット

①膜厚が均一

電気的な制御を行った電着槽に漬ける形で製品に塗装を行うため、膜厚の偏りが少なく仕上がります。袋状の物でも隙間なく均一に塗装できます。

②つきまわり性が高い

スプレー塗装では塗装しにくいような袋状の構造や、奥まっている複雑な形状の被塗物に対しても、ムラなく塗装を行うことができます。そのため塗り残しが起きにくく防錆効果も高まります。

③大量生産に適している

スプレー塗装などと比べると加工ラインの自動化を行いやすい塗装方法であるため、大量生産が可能です。一般的に自動車の下塗りにはカチオン電着塗装が採用されています。

電着塗装のデメリット

塗装したい物に電気を流す必要があるため、プラスチックや木材など電気を流せない物などには使えないというのも特徴として挙げられます。

①被塗物に通電性が必要

電着塗装は電気の力を使い塗装するため通電性のある金属製品などでなければ行うことができません。

②塗装の色が限定される

各社で採用している色以外の塗装を行う場合には、電着槽内の塗料を入れ替える必要があるため、塗装の色の選択が限定されます。そのため、色の切り替えが困難で表現力が低いとされます。カチオン電着塗装については主に黒色を採用している会社が多いようです。

③設備が大がかりで管理が複雑

設備が大型で広大な敷地を要することと、機器の管理も複雑なため、対応出来る会社が少ないのが現実です。また、段取りが多いため少量の塗装には不向きです。


3.電着塗装(ED)のおもな用途

電着塗装(ED)は自動車部品や車両のボディといった、複雑な形状の金属製品に行われることが多い傾向があります。冒頭にもご紹介した通り、トノックスでもカチオン電着塗装を採用しています。
金属製品でなくても、建材やスチール家具、電子部品、農機具、鋳物など導電性のある製品であれば、塗装を行うことができます。

塗装を行う目的は、主に2つ挙げられます。

①製品の見た目の美しさを高めるため
②製品の保護のため

例えば、金属素材の製品に対する防錆のほか、風雨にさらされるような製品に対する撥水性の向上、衛生面の高さを求められる製品に対しては、防カビ性能の向上を目的とした塗装が行われます。電着塗装は、これらの目的を叶えることが難しいとされていた形状の製品にも、高い精度の塗装を実現することができます。

以上のように、電着塗装(ED)は他の塗装方法と原理的に大きく異なる事から際立った特徴をもっているほか、一般的な吹き付け塗装と異なり様々な装置や設備を用いるため、独特な不良が発生することもあります。例えば、入槽の際に空気が入ってしまい、その部分に電気が流れず塗装がされない「泡かみ」、ワークを吊るすハンガーと電極の接触不良により十分な電気が流れず必要な塗膜の厚さが得られない「通電不良」です。

これら未塗装(エアポケット)・膜厚不良などを発生させないためには、熟練した職人の知見と技術が必要となります。