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2023年まとめ「世界と日本のEV普及の現状」| 特殊車両ならトノックス

ここ数年で、世界は電気自動車(EV)の普及に向けて大きく動き出していますが、2023年現在、それぞれの国や地域の事情によって大きな差が出てきています。電気自動車は今後どのように進化していき、普及が進んでいくのでしょうか。
2023年現在のまとめと、今後予測される動向を調査してみましたので、ご紹介します。

1.国内のEV普及率

2023年1月から9月までの電気自動車(EV)の販売台数は7万296台、新車販売台数は301万2626台でした(いずれも軽自動車含む)。EVの割合としては2.33%という結果です。

国内の傾向としての大きな特徴は、EV販売台数7万296台のうち、軽自動車が3万6821台で、普通車のEVが3万3475台を上回り、軽EVが過半数を超えたことです。

いっぽう、プラグインハイブリッド車(PHEV)の2023年1〜9月の累計販売台数は3万9697台でした。現在、軽自動車でPHEVのモデルは存在しないので、これらはすべて普通車になります。
同期間での普通車EVの販売台数は3万3475台ですので、普通車はEVよりもPHEVのほうが売れているということになります。

また、EV・PHEV・FCEV(燃料電池自動車)の合計販売台数は、乗用車の全販売台数に対して3.66%の割合となりました。

市内の電気自動車の充電ステーション市内の電気自動車の充電ステーション


2.中国は世界最大の自動車市場に

中国は現在、世界最大の自動車市場に成長しています。昨年2022年の販売台数は2686万4000台に達し、それに次ぐ規模であるアメリカ市場は1390万3429台(2022年)、EU市場は925万7208台(2022年)です。

これらの市場を鑑みても、中国はアメリカの2倍近い規模の巨大市場にまで発展しているのです。
このような中国市場において、EVやPHEVは販売が全体の2割以上を占めているというのが特徴で、中国では、EV・PHEV・FCEVをまとめて「新エネルギー車(NEV)」と呼んで推進しており、昨年2022年はNEVの販売台数が688万7000台、NEVは新車販売数全体の25.6%にまで達しました。また、NEVのうちEVは536万5000台で、総販売台数に対して約20.0%を占めることになります。

さらに、2023年はNEVの販売がいっそう伸び、1~7月までの累計は452万6000台にまで伸びました。これは、同期間の全自動車販売台数1562万6000台に対して約29.0%にまで達しています。


3.アメリカのEV普及率と今後の動向

中国の次に規模の大きいアメリカ市場のEV販売台数は、2023年6月までの上半期で55万6707台、2022年と比べて47%増と急激な伸びを示しています。
これは、バイデン政権のインフレ抑制法(IRA)による最大7500ドル(約110万円)の税額控除に加えて、カリフォルニア州ではさらに7500ドルの補助金制度が用意されたため、合計最大1万5000ドル(約225万円)もの補助金が支給され、世界で最も手厚いEV販売支援がなされたことも影響したと言えるでしょう。

2023年上半期、新車の総販売台数は771万6321台で、EVは全体の約7.2%となりました。中国に比べるとかなり低い比率となっていますが、アメリカでは地域ごとにEV比率が大きく違うという特徴があります。

アメリカ中西部ではまだ数%台の州も目立つ一方、カリフォルニア州では2023年4月〜6月のZEV (EV・PHEV・FCEV)販売比率が25.4%にも達しています。

ZEV(英:Zero Emission Vehicle 和:ゼロエミッション車両)とは、排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車を指しますが、カリフォルニア州は、「州内で一定台数以上自動車を販売するメーカーは、その販売台数の一定比率をZEVにしなければならない(ZEV規制)」としています。「ZEV規制」は1990年に導入され、1998年から施行されました。このようなカリフォルニアの取り組みが、今後のアメリカ市場の動向を示唆しているとも言えるでしょう。

日本政府も、2035年には新車販売に占めるZEV(EV、PHV、FCV)の比率を100%にするという目標を掲げています。


4.EUのEV普及の伸びは鈍化傾向

環境保護への意識が高いEUのEV市場は、2023年上半期のEV販売台数が70万3586台となり、2022年に比べ53.8%増と非常に大きな伸びを示しました。これは、新車販売台数の総数がEUで大きく伸びているためであり、全体に対するEVの普及率としてみると小さなものでした。

2023年上半期におけるEV比率は12.9%、2022年のEV比率は12.1%ですので、わずか0.8%の伸び率です。

2022年から2023年にかけて、EU諸国ではEV購入補助金が絞られる国が多く、その影響もあってEV比率の伸びが鈍っているとみられます。

このように、EVの今後の販売動向を予想するとき、これまでのEV普及からもわかる通り、各国・各地域の政策が強く影響を及ぼしています。


5.今後のEV普及の動向予測

今後、2030年から2035年にかけてエンジン車の販売を大きく規制する目標が設定されています。なかでも各国の自動車メーカーに大きな影響を及ぼすと思われるのが、カリフォルニア州大気資源局が新たに承認した「ACCII(アドバンスド・クリーン・カーズII)」と呼ばれる規制です。

ACC2規制は2026年モデルイヤーからスタートするので、実質的に2025年に発売される新車から適用されます。2026年は全体の35%をEVまたはPHEVにする必要があり、2035年に100%になるまで順次、割合が引き上げられます。
また、ここ数年で各市場の保護主義的な政策が急に台頭しはじめているようで、これによる影響も避けられません。

中国市場は長年、輸入車に高い関税を課してきたほか、外国資本による現地生産を認めない政策や、EVのバッテリーを中国企業製のものに限定するホワイトリスト政策など、保護主義的な政策を徹底しておこなってきました。それに呼応してか否か、アメリカやEUが、インフレの抑制やLCA(ライフサイクルアセスメント)という大義名分のもと、保護主義的な政策を打ち出すという構図が見られます。

そのほかにも、バッテリーの原料となる鉱物資源の争奪戦や、車両の性能を上げるための技術開発、EVに適応したインフラの整備など、EV市場の成長に影響を与える要素には様々なものがあります。

変動要因が多く予想困難なEVの普及動向ですが、各国の政策に応じて、2030年から35年にかけてエンジン車およびハイブリッド車(HEV)を大幅に減らしていくという方向性に変わりはなく、大筋でそのシナリオに沿って進んでいくものと予想されます。