CASEがもたらす車両用部品への影響 ① | 特殊車両ならトノックス
1.自動車業界の新たな潮流
Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)といった「CASE」と呼ばれる新しい領域で技術革新が急速に進められています。
「CASE」は、クルマの概念を大きく変える自動車業界の新たな潮流であり、OEM(自動車メーカー)やTier1(一次部品サプライヤ)は新たなニーズに答えるために技術開発を進めるとともに、新たなサービスを提供していこうとしています。
このようなEV(電動自動車 英:Electric Vehicle)の普及や、自動運転の導入などに伴う自動車のデジタル化への取組みは、上流工程を担う部品メーカーはもちろんのこと、連携している部品や素材メーカーにも大きな影響を及ぼし、将来にわたる市場の拡大・成長につながっていくことが予想されます。
2.電動パワーステアリング(EPS)
電動パワーステアリング(EPS)とは、電気でモーターを回してハンドルを回す力を補助する仕組みのことです。これまで長らく油圧パワーステアリング(HPS)が使用されてきましたが、2000年代に入り油圧パワーステアリング(HPS)がフェードアウトし、電動パワーステアリング(EPS)を採用する自動車が増えていきました。
2009年頃からは、エコカーの開発競争がさらに加速し、燃費を良くするための様々な技術が自動車に投入されてきました。それらの技術の中の1つが電動パワーステアリング(EPS)だったのです。
電動パワーステアリング(EPS)を採用する大きな理由は燃費対策です。特に、状況によりエンジンを停止するハイブリッドカーは、電動パワーステアリング(EPS)が必須となります。
また、運転支援システムや将来の自動運転を視野に入れると、電動パワーステアリング(EPS)以外の選択肢は無くなります。
また、オイルの力=油圧でポンプを常時駆動するよりもエンジンの負荷が少なく、燃費が向上するというメリットがあり、今や軽自動車からコンパクトカー、ハイブリッドカー、ミニバン、SUV、スポーツカー、欧州のセダンまで、ほとんどが電動パワーステアリング(EPS)を採用しています。
燃費規制の厳格化やADAS(Advanced Driving Assistant System)搭載車への普及を要因として世界市場で電動パワーステアリング(EPS)の搭載が進み、特に搭載に遅れをとっていた北米や中国でも2021年までに急激に採用が進んだことにより、普及率は世界全体で85.5%まで上昇しました。
今後は、油圧パワーステアリング(HPS)が採用されているケースが多い小型商用車やインド、ASEAN諸国など新興国で電動パワーステアリング(EPS)への切り替えが進むと予想されています。さらに、日本、欧州、北米、中国などの市場では、2025年以降から自動運転レベル3以上、ブレーキやサスペンションなどとの協調制御による安全性向上を目的に、ステアバイワイヤ(SBW)の装着が進むとみられています。
3.ADAS/先進自動運転システム
ADAS(先進運転支援システム)とは、ドライバーや歩行者などの安全・快適を実現するために、自動車が各種センサーを用いて周囲の状況を把握し、ドライバーに的確に表示・警告を行うほか、ステアリングホイールやブレーキなどの操作に関与し、ドライバーの操作を支援する機能の総称です。
自動運転のレベル2に位置付けられ、2020年から最も市場規模(搭載台数)が拡大しました。高速道路において「ACC(車間距離制御装置)」「LKS/LKA(車線維持補助装置)」を同時に作動させる運転支援機能の設定車種が増え、車両に搭載するADAS用センサ(フロントカメラ/レーダ)の高性能化も進展しています。
レベル2+(L2+:運転支援)についても日米自動車メーカーで搭載が急増しています。
2025年に向けて日米欧中ではADASの標準搭載が進み、2023年にレベル1(L1:運転支援)の世界搭載台数はピークアウトし、2024年にはレベル2の市場規模がレベル1を上回ると予測されています。