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特殊な状況で活躍する消防車② | 特殊車両ならトノックス

1.消化活動以外で活躍する消防車

高踏破偵察車 東京消防庁第九方面本部CS3高踏破偵察車 東京消防庁第九方面本部CS3(Wikipediaより)


日本では、一般的には、火災に対応して出動するポンプ車、小型動力ポンプ積載車、はしご車などが通常「消防車」と認識されており、消防法第26条においても「消防車」と表記されている一方で、“道路交通法”によると緊急自動車の区分として「消防用自動車」という区分がなされ、「救急車」などを含めての緊急車両全体を「消防車両」と分類しています。

今回は、火災を消化する際に出動する「消防車」とは違い、災害時に様々な救助活動において活躍する消防車の種類についてご紹介いたします。


2.救助工作車

「救助工作車(略称:R)」は、日本の消防の特別救助隊や特別高度救助隊等が使用する日本の消防車のひとつです。特別救助隊(レスキュー隊)が運用し、人命救助活動に使用される車両です。

交通事故などで車両に閉じ込められた人を助けるために、多くはクレーン・ウインチを装備し、エアカッター、油圧式拡張機(スプレッダー、俗称:ジョーズ)など救助資機材を搭載しています。

近年は震災対策・広域応援のために緊急消防援助隊制度の発足や消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)・特別高度救助隊など高度な救助部隊が創設されたことで、各本部の規模や地形、用途によりI型からIV型まで多様な種類があり、バス型やハイルーフ型、高床型と低床型などタイプも豊富になっています。

II型はクレーンを装備していない車両も存在するほか、全長を短く抑えたり、はしごを積載庫内に収めたり、車上ボックスもなくしたりすることで、車上を救助スペースにするなどコンパクト化した車輌も存在しています。また、ポンプや小型水槽やポンプとは別に高圧消火装置などを積載し、消火活動の可能な車輌もあります。


3.指揮車(指令車)

「指揮車」は災害活動の現場で指揮を執る“大隊長(=消防署長・消防分署長)”と麾下(きか=指揮者に属する部下)の、伝令や通信係、情報整理担当など5人~3人で1個隊が編成される“指揮隊”が搭乗する車両で、各消防署の指揮隊によって運用されています。

関係機関や現場で活動中の各中隊小隊と情報交換ができるように、電話(自動車電話)・ファクシミリ・使用している全ての消防無線を送受信できる無線機などの通信機器、住宅地図帳、作戦図板になる折り畳み式テーブルを搭載しています。

大型の車両では“移動通信指令室”といえるようなスペースを有する車両もあります。東京消防庁本庁警防部に所属する「本部指揮隊車」、及び同庁第8消防方面本部保有の「移動無線電話車」には、実際に無線端末5台を組み込んだ指令卓が搭載されています。
また、車両によっては大型のLEDボードや幕、サイドオーニング(収納式テント)を装備し、活動中は“現場指揮本部”“現場本部”の幟を立てて目印とします。東京消防庁では、ワンボックスタイプの車両については「救助先行車」と呼んでいます。

平成17年、消防庁の消防力整備指針により、消防本部・消防署の指揮隊・指揮車の配備基準が定められました。
出動と同時に現場の詳細、出動隊の状態など多くの情報を取り入れる必要がある指揮隊は、「原因調査車」の行う役割と近いものがある。このため、本部によっては、指揮隊のメンバーに調査部門の職員を加え、「原因調査車」と兼用していることがあり、スモークガラスや調査資機材などを装備したワンボックスカータイプを採用していることが多いようです。

「指揮車」「指令車」の違いは各消防本部によって委ねられていますが、大規模な消防本部では「指揮車」、指揮隊が存在しない小規模な消防本部及び消防団で使用される車輌には「指令車」と呼ばれる傾向があります。


4.特殊災害対策車

「特殊災害対策車」は、「HAZ-MAT車(略:hazardous-materials、有害物質対応の意味)」や「特殊災害対応自動車」とも呼ばれ化学物質漏洩災害等いわゆるCBRNE(化学=chemical・生物=biological・放射性物質=radiological・核=nuclear・爆発物=explosive )災害に対応する消防車です。
CBRNE災害に対応するため、毒劇物防護服や各種分析機器、除染機器を備えています。当初は本部によって「特殊化学車」「化学救助工作車」等の名称が用いられていました。近年配備されている「特殊災害策車」の多くは汚染物質の流入を防ぐため、空気浄化装置により車内を陽圧にできる機能も有しています。

1995年の地下鉄サリン事件以降、各地の消防機関に配備され、特別高度救助隊を持つ政令指定都市には配備が義務付けられました。2010年からは消防庁から「特殊災害対応自動車」として貸与も行われ、2007年にはNBC災害時に被害者に付着した有毒物質の除染を行う「大型除染システム車」が消防庁からの貸与によって配備されました

東京消防庁第三方面本部(とうきょうしょうぼうちょうだいさんしょうぼうほうめんほんぶ、東京消防庁の内局で、東京都の目黒区、世田谷区及び渋谷区内の消防署を指導、連絡調整を行う機関)、消防救助機動部隊の「特殊災害対策車(大型)」は陽圧機能の他に、放射線の透過を防ぐため車体が鉛板や水槽で覆われており、日本で唯一の放射線災害にも対応した車両で、福島第一原子力発電所事故でも活躍しました。

同部隊には「特殊災害対策車(大型)」に加えて脱衣兼シャワー室などを完備し被害者に付着した有毒物質の除染を行う「特殊災害対策車(除染車)」とC-130 (航空機)に積載可能で車両外部に各種分析装置を有し、遠隔探査ロボットによって車内でモニタリングが行える「特殊災害対策車(偵察車)」が配備されています。同車両は部隊の福島原発での活躍を知った台湾からの義援金1億円により作成されました。
東京消防庁第三方面本部では大型(CS1)・除染(CS2)・偵察(CS3)の3種類の「特殊災害対策車」の配備によって、都内や国内でのNBC災害に対応しています。

更に東日本大震災の教訓から第九消防方面本部消防救助機動部隊が発足して大型(CS1)・除染(CS2)・高踏破偵察(CS3)の3種類の特殊災害対策車が配備されています。「高踏破偵察車」は、悪路に対する高い走破性を誇ると共に車内陽圧機能を持ち、車両外部の各種分析装置によって車内でモニタリングを行う事ができ、現場の偵察活動や人員・資機材の搬送等を可能にします。

同車両が置かれる八王子市には山間部も多くNBC災害のみならず土砂災害や山林火災などへの対応も期待されています。なお、陽圧機能や分析機能等NBC災害に対する機能を有してない「救出救助車」という同型の車両が第六本部にも配備されています。 又、現在は第三方面本部及び第九方面本部を含め全消防救助機動部隊に除染車(CS2)が配備されているほか、 「爆破テロへの対応」を念頭に警察で使用されている「特型警備車」を改良した「救出救助車」が第三消防方面消防救助機動部隊に配備されています。


5.支援車

「支援車」は、長期の災害現場における消防隊員への後方支援を目的とした車両です。阪神・淡路大震災を機に、消防の後方支援体制の充実を図るために配備されました。さらに、緊急消防援助隊の設置後、全国各地の消防本部の度重なる広域派遣によってその重要性が高まり、2006年になって「支援車」という新たな規格が誕生、I型とII型に分離され、2007年にはIII型とIV型も新たに誕生しました。

緊急消防援助隊の支援車両という位置づけですが、大規模災害・広域応援時のみならず一般災害時でも隊員の一時休息のためや被災した住民の一時避難所として活用している自治体もあります。


6.まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回も前回に引き続き、特殊な環境や条件下で活躍する消防車の種類についてご紹介しました。

トノックスは、小型から大型まであらゆる特装車を開発・製造しております。その他、計測解析業務・レストアなど、個人のお客様のご相談から、国の行政機関・公共団体のご相談まで幅広く対応、多数の受注実績があり、企画・設計から、製造・整備まですべて自社にてまかなえる一貫体制が整っています。

当社では昭和23年の創業より働く車、特殊車両の専門メーカーとして創業70周年を超え、多数のノウハウ・実績がございます。詳しい内容をご希望の方は、お気軽にトノックスまでお問い合わせください。
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