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特殊な状況で活躍する消防車① | 特殊車両ならトノックス

1.意外と知られていない特殊な消防車

水槽付小型はしご車15メートル級 稚内地区消防事務組合消防署豊富支署(Wikipediaより)水槽付小型はしご車15メートル級
稚内地区消防事務組合消防署豊富支署(Wikipediaより)


日本では、消防法第26条において「消防車」と表記されている一方、消防庁告示の“消防力の基準”では「消防自動車」という表記は無く、「消防ポンプ自動車」と記されています。

“道路交通法”によると緊急自動車の区分として「消防用自動車」という区分がなされています。「救急車」などを含めての緊急車両全体を「消防車両」と分類しています。一般的には、火災に対応して出動するポンプ車、小型動力ポンプ積載車、はしご車などが通常「消防車」と認識されています。

今回は、そのような「消防車」とは一風違う、特殊な環境や条件下で活躍する消防車の種類についてご紹介いたします。


2.はしご自動車各種

高所の消火及び救助に使用される消防車を「はしご車」と呼びます。男児に人気が高い、比較的ポピュラーな消防車です。
主な種類としては、

●はしご付消防自動車
●はしご付消防ポンプ自動車    
●屈折はしご付消防自動車
●屈折はしご付消防ポンプ自動車

などが挙げられます。
日本では最低10メートルから、最大では50メートル(規格地上高50.3メートル)の高さまで届くものも存在しています。なお国内最長は、車体サイズの法規制と技術力の兼ね合いから、金沢市消防局、岡崎市消防本部、徳島市消防局、埼玉県南西部消防本部、豊橋市消防本部に配置されている54.7メートルです。(2020年時点)

はしご車自体が高額なため、平均で14年から16年、遅いところではオーバーホール(大規模分解・修理・改良)を重ね30年超活躍する車両もあります。はしご車は安全性を担保するため、法律によりオーバーホールが購入後7年から8年ごとに義務付けられています。
はしごが長いタイプはその分、物理的に車体が大きくなるため、道が狭いところなどでは進入が困難になるほか、はしごの稼働範囲に制限がでてしまいます。そのため、日本では30メートルタイプのはしご車が最も標準的な車両として全国に普及しています。また、高層ビル・マンションの多い地域では40メートルから50メートルの長いタイプ、道の狭い地域や中層ビル・マンションが多い自治体では10メートルから20メートルの短いタイプのはしご車が中心となっています。  

はしごの角度は仰角(上向きの角度)のみではなく、俯角(斜め下方向)にはしごを伸ばす機能を有するものもあり、例えば水難事故等で、はしご車の部署した位置よりも低い位置に要救助者がいる場合にも活用できるようになっています。
はしご部分には、人を乗せる機構として、バスケットやリフターが設けられており、目的とする位置に一度セットすれば、連続的に消防隊員を送り込んだり、救助者を救出したりすることができます。
1950年代までのはしご車にはバスケットやリフターが無く、1960年代に技術の進歩によりリフターが開発され、1980年代からは、はしご先端にバスケットが付けられるようになりました。リフターは、はしご部分を上下するリフト(エレベーター)、バスケットは、はしご先端部につけられた籠のことで、3人から5人乗りが標準です。消防隊員の搭乗や活動のしやすさ、救助者の安心感はありますが、人員の乗り降りには毎回はしごの伸縮、先端のバスケットを地上まで移動させる必要があり、効率が悪いという欠点もあります。

最近では、バスケットとリフターを併設するはしご車(放水時は、耐荷重90kgから270kgほどに制限される)、車椅子対応型はしご車なども登場しています。
先端屈折機構を有するはしご車も各メーカーから発売されており、バスケットの手前数メートルの位置ではしごの先端が屈折して、電線等の障害物を避けることができます。通常の先端屈折はしご車は屈折部の梯体が1連式ですが、ドイツのマギルス製先端屈折はしご車は、先端屈折に加え先端が1.2メートルほど伸縮する2連式になっています。

この他に、はしごを屈折させる屈折はしご車(別名:シュノーケル車、標準型、Σ型、先端屈折型)や、はしごではなく、先端に放水銃と破砕用クラッシャーを装備して隊員が近付けない場所への放水が可能な「屈折放水塔車(別名:スクアート車)」などがあり、これらの車両は「高所放水車」とも呼ばれます。
「高所放水車」は、福島第一原子力発電所事故の際に、東京消防庁による使用済み核燃料プールへの放水活動に使用され活躍しました。近年は「高所放水車」の機能と「大型化学消防車」の機能を併せ持つ「大型化学高所放水車」も登場しています。

石油コンビナート火災に対応する「大型化学車」「泡原液搬送車」「高所放水車(屈折放水塔車)」の3台をまとめて“化学車3点セット”と呼ばれていましたが、「大型化学車」と「高所放水車」の機能が一つになったことで「大型化学高所放水車」と「泡原液搬送車」の2点セットでの運用が可能となりました。
海外輸入のはしご車を導入する消防本部もあります。

2019年名古屋市消防局には、スカニア・Pシリーズをベースとしたイヴェコ・マギルス製のはしご車が納入されていますし、2020年東京消防庁にはベンツの特装車向けシャーシエコニックをベースとしたローゼンバウアー製のはしご車が納入されています。同じく、2020年には千葉県の山武郡市消防本部に、いすゞ・ギガをベースとした日本機械工業製の「バス型はしご車」が納入されています。この「バス型はしご車」の車内は広く、後部の積載庫は梯子操作時に邪魔にならないように、可動式になっています。


3.燃料補給車

「燃料補給車」は、消防車へ燃料(軽油)を補給する軽油専用のタンクローリーです。広域災害時の車両支援用として2009年に総務省消防庁から貸与の形で、東京消防庁、札幌市消防局、仙台市消防局、名古屋市消防局、京都市消防局、大阪市消防局、広島市消防局、福岡市消防局に配備されました。

第1次配備車はいすゞ・エルフに艤装した車両で、後部に供給用のポンプや給油ガンを備え、950リットルの軽油を積載することが可能となっています。第2次配備車両は三菱ふそう・キャンターに艤装されたものです。
2011年の東日本大震災での教訓から、総務省消防庁は全国に30台の燃料補給車を貸与することを決め、順次配備されています。


4.泡原液搬送車

「泡原液搬送車」は、石油コンビナート等の火災で積載する泡消火薬剤を「化学消防自動車」や「高所放水車」に補給する車両です。いわゆる三点セット(大型化学消防自動車・高所放水車・泡原液搬送車)のうちの1台です。


5.化学消防ポンプ自動車・化学消防車

「化学消防ポンプ自動車・化学消防車(別名:化学車)」は、水による消火が不可能・困難な石油コンビナートや航空事故などの重大な危険物火災に対応する消防車です。泡消火剤や粉末消火剤を噴射し、酸素を遮断させ消火します。

少量危険物火災を想定した「軽化学車」、化学工場火災を想定した「重化学車」、石油コンビナート、航空機火災を想定した「大型化学車」、「大型化学車」に鋼鉄製の装甲、銃眼付ウィンドウカバー等を艤装した「装甲化学車」があります。

近年では化学車にCAFS(英:Compressed Air Foam System、和:圧縮空気泡消火装置)を積載し、一般火災にも対応できる車輌が登場しています。「軽化学車」は、一般火災対応として、「水槽付きポンプ自動車」と同様の扱いや運用をする本部もあります。


6.まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、特殊な環境や条件下で活躍する消防車の種類についてご紹介しました。

トノックスは、小型から大型まであらゆる特装車を開発・製造しております。その他、計測解析業務・レストアなど、個人のお客様のご相談から、国の行政機関・公共団体のご相談まで幅広く対応、多数の受注実績があり、企画・設計から、製造・整備まですべて自社にてまかなえる一貫体制が整っています。

当社では昭和23年の創業より働く車、特殊車両の専門メーカーとして創業70周年を超え、多数のノウハウ・実績がございます。詳しい内容をご希望の方は、お気軽にトノックスまでお問い合わせください。
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