株式会社トノックス|神奈川県の特装車工場

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大規模災害時に備えた特殊車両 | 特殊車両ならトノックス

1.消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)の発足

東京消防庁の双腕重機(Wikipediaより)東京消防庁の双腕重機(Wikipediaより)


1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、近畿圏の広域が大きな被害を受け、特に震源に近い神戸市の市街地である東灘区、灘区、中央区(三宮・元町・ポートアイランド)、兵庫区、長田区、須磨区の被害は甚大で、近代都市の災害としては最悪な結果となり、世界中に衝撃を与えました。

特に神戸市の長田区においては、木造住宅が密集していた地域を中心に火災の被害が甚大で、地震翌日以降の送電再開に伴う火災もその被害に拍車をかけたとされています。消火活動では上水道が断水し、わずかな防火貯水槽を探しているうちに炎が延焼して被害が大きくなり、断水で水が出ないホースを持ったまま炎の近くで立ち尽くす消防士たちは放任火災活動に切り替えるほかありませんでした。

全国の消防・警察からは、多くの応援が現地に向かったものの、交通渋滞に巻き込まれ、ようやく到着出来ても大規模災害に対する技術・知識・装備・機材が不足しており、救護活動は難航しました。また、瓦礫の下の被災者を救出するための救援車両が不充分で、負傷者の救出・搬送が遅れたため被害が拡大しました。従来の消防の特別救助隊(レスキュー隊)と救助資機材だけでは、都市部の大規模災害には対応できないことが浮き彫りになったのです。

それらの教訓から、東京消防庁は1996年12月17日に、災害時に機動力を発揮する特別な技術・能力と重機や人命探査装置など高度救助資機材を装備し、高度な救出救助能力を持った部隊「消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)」を創設し 道路啓開用の重機が配備されることとなりました。


2.阪神・淡路大震災での教訓を生かして

阪神・淡路大震災大規模災害の教訓から、東京消防庁によって、消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)が創設され、道路啓開用の重機と搬送車が各地に配備されました。
障害物の除去や道路啓開(けいかい)を行うための重機は多くがキャタピラー(鋼板を帯状につなぎ合わせ、輪にして前後の駆動輪にかけ渡し、回転させて走行する装置)を履いた装軌車両となっています。

現在、東京消防庁には遠隔操作も可能な大小のドラグショベル(パワーショベル)とトラクターショベル(別名:ホイールローダー、旧:ブルドーザー)を保有しています。ドラグショベルとトラクターショベルはそれぞれ、第二消防方面本部、第六消防方面本部、第八消防方面本部、第九消防方面本部の消防救助機動部隊にそれぞれ配備されています。
重機運搬車は2台あり、20トン超の4軸の大型トラックタイプとなっていて、装備は重機を降ろすときのスロープとハイジャッキ(荷台を持ち上げるめにの長いタイプのジャッキ)アタッチメントセットと台座を有し、クレーンなどは装備していません。

また、東京消防庁第六消防方面本部の消防救助機動部隊と川崎市消防局中原消防署は2本のアームを持ったパワーショベル「双腕重機」を配備します。これは、2本の腕で掴む動作と切断の両方が出来る重機です。左右に2本の腕が取り付けられていて、それぞれに、配管と油圧フォークや、油圧カッターが備えられています。

冬季に積雪のある地域においては、除排雪用に、ホイールローダー(トラクターショベルのうち、車輪で走行するもの)を配備している場合も多く、広島県江田島市消防本部は災害時の瓦礫等排除用に同様の車輌を配備しています。


3.東日本大震災以降の配備

2011年の東日本大震災を教訓にした緊急消防援助隊の装備強化として、2013年より総務省消防庁が重機(遠隔操作が可能なショベルカー)及び搬送車を全国各地に段階的に配備しました。これにより、2014年8月豪雨による広島市の土砂災害でも、消防庁の重機が活躍することとなります。

すべての重機にアタッチメント4種類(掘削用バケット、物を掴む油圧旋回フォーク、コンクリートなどを砕く油圧ブレーカー、鉄筋などを切断する鉄骨切断機)と交換用カプラー、2〜3本の油圧配管、運搬車にはアタッチメント置台、ユニッククレーン、降ろす際の歩み板などが装備品となっています。重機は3トンと5トンの2種で、荷台がスライドして傾くセルフローダー式、ジャッキで荷台ごと上げて傾ける方式のもの、土砂排出用ベルトコンベアを装備した車両など、さまざまな種類が適宜配備されています。

神戸市消防局が、クレーンなしのハイジャッキ仕様の重機運搬車と、3本配管・交換用カプラー・アームクレーン仕様の3トン重機を2020年3月に配備したほか、山口市消防本部は貸与の車両とは別に独自で5トン重機(キャビン仕様・ブレード・1本配管・ヘッド・フロントガード付き)でグラップルバケットを装備した重機を配備しました。

障害物除去の機能を持たない車両としては、60センチの段差や水深1・2メートルまで走行でき荒れ地や雪上、がれき、浸水地域などのあらゆる災害現場に人や物資を運搬する事ができる「全地形対応車(レッドサラマンダー)」、ゴムクローラーで道路を走行できる車輌(大型で、2つの車体に分かれており、連結棒で連結されている)を岡崎市消防本部に貸与、配備しました。
2017年7月に九州北部で発生した豪雨災害(九州北部豪雨)での災害救助活動には、岡崎市消防本部に日本で1台だけ配備されているこの「全地形対応車両」(レッドサラマンダー)が初めて災害救助活動に投入されました。

横浜市消防局には、四角い車体でクローラー式、放水砲がついた「無人放水車」と、ホイールローダーもしくはパワーショベルに放水銃がついており、同時に遠隔操作が可能な2台セットの「無人放水車」が配備されています。いずれも、資材搬送車の専用コンテナで搬送されます。


4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、大規模災害時に備えた特殊車両の配備についてご紹介しました。
消防庁では、過去の大災害を教訓にし、様々な改善と対策、進化がなされています。

トノックスは、小型から大型まであらゆる特装車を開発・製造しております。その他、計測解析業務・レストアなど、個人のお客様のご相談から、国の行政機関・公共団体のご相談まで幅広く対応、多数の受注実績があり、企画・設計から、製造・整備まですべて自社にてまかなえる一貫体制が整っています。

当社では昭和23年の創業より働く車、特殊車両の専門メーカーとして創業70周年を超え、多数のノウハウ・実績がございます。詳しい内容をご希望の方は、お気軽にトノックスまでお問い合わせください。
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