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デマンド型交通が叶える未来と課題 | 特殊車両ならトノックス

デマンド型交通(英:Demand-responsive transport, 通称:DRT)とは、利用者の予約に応じる形で、運行経路や運行スケジュールをそれに合わせて運行する地域公共交通のことです。デマンド型交通のほか、デマンド応答型輸送サービスと訳されるほか、オンデマンド交通とも表記されます。利用者の要求(demand)に応じて運行される公共交通であることからこう呼ばれています。

今回の記事では、デマンド型交通の現状と未来に期待される形態、今後の課題などについて考察します。


大愛知県刈谷市に本社を置く民間の自動車部品メーカーが開発・運営しているデマンド型交通「チョイソコ」(Wikipediaより)
大愛知県刈谷市に本社を置く民間の自動車部品メーカーが
開発・運営しているデマンド型交通「チョイソコ」(Wikipediaより)


デマンド型交通の仕組みと現状

デマンド型交通の運航の仕組みは、迂回路方式、フレックスルート方式、フルデマンド方式などがあり、それぞれ次のように分類しています。

迂回路方式:通常は路線バスとして運行し、予約があった場合に迂回したり経路を延長して運行する方式。
フレックスルート方式:停留所候補は定められているが、予約に応じて可変なルートで運行する方式。
フルデマンド方式:完全なドア・トゥー・ドアで利用客の要望に応じて呼び出しがあった地点から目的地まで運行する方式。

東京大学は、ドア・トゥー・ドア方式で、かつ乗客全員が希望時間に乗降できるようなソリューションを提供するデマンドバスサービス「コンビニクル」を、公立はこだて未来大学は、フルデマンド方式の一種として、運行中にデマンドを受け付ける実時間スケジューリングの「スマートアクセスビークル(SAV)方式」を開発しています。


国内デマンド型交通の運行形態

日本におけるデマンド型交通の運行形態は、大まかに簡易型とエリア型の2種類に分けられ、さらにダイヤによって固定ダイヤ型と非固定型、路線によって定路線型と自由路線型、乗降場所によってバスストップ型と各戸送迎型に分けられます。
簡易型には、路線固定型(定路線型)、迂回型、エリア型には、起終点固定デマンド型(自由経路ミーティングポイント型)、完全デマンド型があります。

簡易型

路線固定型(定路線型)は、通常の路線バスと同様に起点・終点・運行経路・途中の停車地(停留所)・運行時刻(停車時刻)がすべて固定されており、運行前に予約が入ったときにのみ、その便を運行する形態です。
迂回型は、基本的には起点・終点・運行経路・途中の停車地(停留所)・運行時刻(停車時刻)がすべて固定されていますが、経路の途中に迂回経路があり、迂回経路上にある停留所は、予約が入ったときにのみ運行する形態です。

エリア型

起終点固定デマンド型(自由経路ミーティングポイント型)は、起点の出発時刻または終点の到着時刻のみ固定されており、起点出発前に予約を受けた地点を経由して運行する形態です。乗降できる地点は指定されており、特定のエリア内に多数配置されています。この乗降できる地点をミーティングポイントと呼びます。決まった経路で運行するわけではなく、運行前に予約した利用者が乗降を希望した地点のみに停車し、予約の入っていない地点には立ち寄りません。

一方、完全デマンド型は、路線・経路(起点と終点)や到着時刻が固定されておらず、任意の時刻での予約が可能で、特定のエリア内であればどの場所でも乗降できます。ただし、利用可能時間帯が限定されており、また、乗車(降車)は任意の場所で可能であっても降車(乗車)が特定の施設等に限定される場合があります。


デマンド型交通への期待と課題

日本においては人口の減少を主な起因とした、一般企業が運営する路線バスや自治体が運営主体となるコミュニティバス需要の減退によって、路線バスからデマンド交通に切り替える地域が珍しくなくなっています。過疎地のみならず、全国的にデマンド型交通を導入する自治体が増えているのが現状です。

しかし、オンデマンド交通の利用者が増えた結果、デマンド式の交通ではじゅうぶんな輸送量を賄えなくなりコミュニティバス形式に戻した例(埼玉県幸手市)もあります。単純にデマンド交通へ切り替えるだけではない、どのような運行形態が適切なのか各自治体の判断や適切な計画が求められています。

現在、デマンド型交通に期待されることは、地域の交通格差を解消し、誰もが快適かつ効率的に移動できる環境を提供することです。特に、過疎地や高齢者が多い地域での公共交通の維持は難しく、デマンド型交通がその補完として重要な役割を果たすと期待されています。また、都市部でもラストワンマイルの移動手段として柔軟なサービス提供が可能です。

未来の理想的なデマンド型交通の形態は、AIやIoT技術を活用し、リアルタイムで最適なルートを提案するシステムが構築されることです。これにより、利用者は待ち時間が短く、運行効率が最大化され、環境負荷も軽減されます。車両の電動化は進み、サステナブルな社会を支える一助となるでしょう。

すべての人が公平にアクセスできる交通ネットワークの中で、デマンド型交通は既存の公共交通と連携し、新しい移動のスタンダードとして普及することが期待されます。