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自動車におけるメーカーレイアウト(Maker layout)とは? | 特殊車両ならトノックス

自動車業界でML決定やM/L決定といえば、発注先確定のことを意味します。

MLは、Maker Layout(メーカーレイアウト)の略です。自動車メーカーから見た場合に、発注先を決めるというのは、つまり、自動車を製造する場合に必要となる各部品をどこに発注するかという決定のことです。
本記事では、メーカーレイアウト(Maker layout)についてご説明します。


1.薄利多売で原価低減の努力が必須

自動車部品メーカーをはじめとするサプライヤーから見たMLとは、受注先決定のことを意味し、自動車メーカーからML決定をもらうために、コンペなどで各サプライヤー同士が受注獲得を競いあいます。

一度ML決定すると、その受注が確定した部分については量産供給はもちろん、自動車がモデルチェンジによって量産されなくなった後も、修理や保守用の部品補給品(サービスパーツ)の供給も定められた期間行うことになります。

グローバル車のように広範な市場で製造販売される車種や車型にML決定されることもあれば、同じ部品でも車両単位で複数メーカーに発注を分けるケースもありますが、基本的に車メーカーは単価を下げるために基本的には同一部品の発注を大量に行ってよりよい価格条件を引き出したいと考えています。
また、昨今は複数の車型に同一の部品を使うケースも増えていることから、ML決定のためのコンペではかなりの死闘が繰り広げられます。


メーカーレイアウト(Maker layout)とAIの活用メーカーレイアウト(Maker layout)とAIの活用


2.薄利多売で原価低減の努力が必須

自動車業界におけるサプライヤーは、基本的には薄利多売です。非常に大量の製品を販売することで、売り上げを確保できる一方、ひとつあたりの販売で得られる利益は大きくはないうえ、恒常的に値下げが必要なことから、常に原価低減の努力を必須とされます。

自動車メーカーに対する自動車部品の見積もりは、他業界では類を見ないほどコスト競争が激しくシビアなため、正確かつ複雑な原価計算が必要です。

多くの自動車メーカーが原価低減に注力しているので、構成部品の中で利益がとれる部分というのはあまり多くはありません。しかも、利益率が類推できてしまうほどに様々な価格条件がオープンになっていますから、価格を下げるために自動車メーカーが大量に材料や部品などを発注し、有償で部品メーカー等へ販売するという方式もよく使われます。


3.ML決定とはノミネーション(推薦)を得ること

専門知識を持つ購買・調達部門が存在するため、自動車メーカーへ直接納入するTier 1(ティア1)と呼ばれる部品メーカーや材料メーカーにも当然、購買部門が存在します。

Tier 1(ティア1)とは、ビジネスプロセス、あるいはISP(インターネットサービスプロバイダ)などにおける階層のことです。
自動車業界で用いられる場合は、多階層からなるビジネスプロセスのポジションを指し、大元のメーカーから見てダイレクトに取り引きするシステム企業がTier1、システム企業が取り引きする半導体企業がTier2、さらに半導体企業が取引する素材企業がTier3となります。

ML決定を獲得するためには、技術的な内容もさることながら、精度の高い見積もりが必要となり、これに他社との競争という要素が加わります。
ML決定とは、つまりノミネーション(推薦)を得ることであり、海外メーカーの場合はノミネーションレター(当社が契約製品または契約サービスの供給に関してサプライヤーを指名する書面および付属書類)を正式に入手することで、受注獲得の正式連絡を得ます。

メーカーによっては、このML決定を正式に待っていると、金型など長期間の準備が必要な生産財が間に合わないこともあり、見込みで動くこともありますが、この段階では自動車メーカーの長期内示動向が不明なこともあり、生産能力の試算などにも苦心しながら取り組む必要があります。


4.AIによる生産量予測アルゴリズム

テクノロジーが絶えず進化する昨今、自動車業界もイノベーションによる変革の力の例外ではありません。AIを導入することで、ML決定の方法も変わりつつあります。

車のメンテナンスが必要になる時期の予測から、顧客向けにパーソナライズされたエクスペリエンスの作成に至るまで、車両の整備方法に革命をもたらし、自動車の所有体験全体を再定義します。

これまでマンパワーで行っていた試算に、AIを活用し改善案における生産量を高精度・高効率に算出する技術を用いれば、生産ラインの各工程で計測した作業時間から、作業時間のばらつきや時間帯による作業効率の変化を分析し、生産量算出用データを生成できます。

このようなデータを用いることで、改善案における生産量を90%以上の精度で算出できるようになりました。


5.まとめ

いかがでしたでしょうか?

この記事では自動車におけるメーカーレイアウト(Maker layout)と、AIを活用することでの効率化と精緻性の向上について、かんたんにご紹介しました。ML決定に関しての参考になりましたら幸いです。