コンバージョンEVとは?メリットは? | 特殊車両ならトノックス
車体製造・特装車架装を専門とする株式会社トノックスは、ランドクルーザーとハイエースを専門販売するフレックス株式会社とランクル60のコンバージョンEVを共同開発すると発表しました。
コンバージョンとはどのようなものなのでしょうか。
1.コンバージョンとは
コンバージョンとは、英語のconversionのこと。
転換(すること)、転化、改装(すること)、改造、変説、転向、改宗、(紙幣の)兌換(だかん)、(外国通貨の)換算、両替
引用:Weblioより
と意味が複数ありますが、自動車においては、改装や改造と言った意味となるでしょう。
中でも、近年話題となっている、エンジンやその付属装置を取り去り、EV化するコンバージョンEVを指すことが多いようです。
具体例をあげますと、「クラシックカーをEV(電気自動車)にする」「旧車をEVにする」というものが「コンバージョンEV」というものにあたります。
2.「コンバージョンEV」がなぜ話題なのか
近年、脱炭素社会の実現に向け、世界各国で電気自動車の普及と推進が行われています。
これにより、自動車メーカーは「脱ガソリン車、脱ディーゼル車」を掲げ、EV(電気自動車)の開発に注力しています。
「電動化」は自動車会社各社においても目標になっており、2021年にアメリカのゼネラル・モータースが2035年までに乗用車を全面的に電動化するとする方針を発表。さらにイギリスのジャガーランドローバー、ドイツのメルセデス・ベンツなども、電動化を推進するという方針を打ち出しています。
日本のメーカーでは、2021年4月に、ホンダも「2040年までに新車をすべてEV・FCVにする」と記者会見で発表しています。
「電動化」といえば最新機種だけだと思いがちかもしれません。しかし今、旧車やクラシックカーをEV化する波がやってきています。
ご存知の通り、クラシックカーはエンジンとその付属部品で構成され、ガソリンで動きます。電気自動車はモーター、バッテリーで構成されていますから、これを置き換える技術、それがコンバージョンEVです。
また旧車をコンバージョンEVにする際、復元するレストアも盛んにおこなわれるようになっており、「長く車と付き合っていく道」に脚光が当たっています。
3.「親から子へ、子から孫へ」
旧車のコンバージョンEVは、実は以前から欧米で多くみられており、コンバートEVキットなども販売されてきました。
長年愛された名車を、自動車メーカーがEV化して販売するケースもあります。
例を挙げると、イギリスで1960年代から1970年代に発売された「ジャガー・タイプE」や、ドイツで1930年代から販売されている「フォルクスワーゲン・タイプI」といった車種が挙げられます。
もちろんこれのみにとどまらず、往年の名車をEV化して現代に復活させる動きは活発で、クラシックカーのEV化を専業とするメーカーやプロショップも多数登場しています。
日本でも、以前からクラシックカーや旧車の愛好家は多く存在していましたが、近年人気が過熱。旧車だけでなく、1980年代や1990年代と言った比較的新しい国産スポーツカーの中古車価格も高騰しています。
子どもの頃憧れだった車を大人になって手に入れ、EV化して乗ると言った例や、親の乗っていた車をEV化して自分が乗ると言った例もあるようで、その需要のすそ野も広いのです。
その波にこたえるように、日本でもクラシックカーのレストア及びEV化を行う事業者が増えています。
4.コンバージョンEVのメリットとデメリット
コンバージョンEVのメリット
コンバージョンEVは、ガソリンエンジンからモーターとバッテリーに換装することですが、様々なメリットがあります。
環境にやさしい
排気ガスがゼロになるので、環境にやさしくなります。
ガソリン代が不要になる
電動化するので、ガソリン代が不要になります。
好きな車に乗ることができる
希少なクラシックカーや、好きな形の旧車に乗ることが出来ます。
古いマニュアル車が、容易に運転できるようになる
クラシックカーや旧車はマニュアル車が一般的で、古いために調子を見ながら走る必要があり、専門知識も多少なりとも必要になりますが、EV化すると現代の車と変わらずに乗ることが出来ます。
メンテナンスの悩みから解放される
クラシックカーや旧車は古い車種なので、修理部品がないことも多く、専門知識が必要です。また、コストも多くかかりますから、資金面の苦労が付きまといますが、EV化することでこの悩みから解放されます。古い車種をレストアしても、古い設計のエンジンは定期的なメンテナンスと修理が必要ですから、このメリットは大きいでしょう。
コンバージョンEVのデメリット
カスタマイズ費用がかかる
コンバージョンEVには、コンバージョンキットというものが存在し、一般的なものであれば100万ほどから手に入ります。しかし自力で交換するわけにもいかないので、プロショップに頼むとすればもう少しかかります。
クラシックカーの場合、車に合わせての各部調整が必要になるため、400万程度かかることが多いようです。
古い車種の場合、コンバージョン以前にレストアが必要な場合も多く、新車同然にしようとすると1000万円を超えることも。
マニュアル車好きには味気ない可能性
古い車種の多くがマニュアル車です。特にスポーツカーなどを愛好する人には、いまだに「マニュアル車が一番面白い」という愛好家もいます。そうしたマニュアル車愛好家は、EVの運転に魅力を感じない可能性があります。
しかし一方で、マニュアル車が好きだけれども、結局車が好きなのは変わらないので、安全な運転と便利な機能を受け入れて、少しでも長く車に乗ろうという熟練ドライバーも少なからず存在します。
「車に乗る」ということに、さまざまな選択肢と可能性が存在するので、メリットとデメリットは人それぞれともいえるでしょう。