急速に進む水素ステーションの整備 | 特殊車両ならトノックス
燃料電池自動車(FCV)の燃料を補給するための水素供給設備(水素ステーション)は、四大都市圏の主要交通網と、四大都市圏を結ぶ幹線沿いを中心に、急ピッチで整備が進められています。
2023年10月2日現在では、首都圏が52ヶ所、中京圏が50ヶ所、関西圏が20ヶ所、九州圏が15ヶ所、その他地域が27ヶ所と、全国計164箇所(「燃料電池自動車等新規需要創出活動補助事業」の交付決定を受け、運用している箇所に限る)で運用されており、関東から東海にかけての普及が目立ちます。
1.水素ステーションとは
「水素ステーション」とは、燃料電池自動車(FCV)の燃料となる「水素」を供給する設備のある場所です。車の水素タンクに補給する「水素ガス」は、圧縮された状態で蓄圧器に貯蔵されています。
燃料電池自動車(FCV)は、水素と酸素がおこす化学反応(2H2+O2=2H2O、電気と水が生まれる)によって発電し、モーターを回転させることで動きます。そのため、燃料の「水素ガス」を供給する必要があります。
つまり、「水素ステーション」は、燃料電池自動車(FCV)にとってのガソリンスタンドのような場所であるといえます。
2.水素ステーションの種類
水素ステーションには現在、大きく分けて「定置式」と「移動式」の2種類があります。
「定置式水素ステーション」はその名の通り、特定の場所に固定で設置されている水素ステーションで、さらに「オンサイト式」「オフサイト式」に分類されます。「オンサイト式」は、水素ステーション内で都市ガスやLPガスなどから水素を製造し、充填する方式です。一方、「オフサイト式」は、ガソリンスタンドのように、外部から運搬した水素を充填するタイプの水素ステーションです。
「移動式水素ステーション」は、トラックの荷台に水素充填装置を積んだもので、「定置式」よりも小さなスペースに、簡単に設置できるタイプです。燃料電池自動車(FCV)のインフラ設備がまだ整い切れていない現状において、柔軟に水素補給ができるのが利点といえます。
「移動式」といえど、指定の場所へデリバリーなどはできません。水素を供給する場所はあくまでもステーション内のみなので、ステーションまで行く必要があります。
いずれの水素ステーションおいても、設置場所の法制度、安全性・安全管理などが適用されており、法的資格を持つ専門スタッフが、水素の充填業務や安全管理を行っています。
3.水素ステーションの仕組み
水素ステーションは、次のような設備によって構成されています。
●水素製造装置(オンサイド型)…水素を製造する装置
※主に都市ガスやLPGから作られるが、水を電気分解して製造している例もある
●圧縮機…車載タンクに充填する水素を高圧で圧縮
●蓄圧器…圧縮した水素を一時的に蓄える
●プレクーラー…水素を-40℃まで冷却する
●ディスペンサー…水素を燃料電池自動車に充填し、またその量を計量する
製造・精製された水素は圧縮機で圧縮され、蓄圧器に一時貯蔵されます。燃料電池自動車(FCV)のタンクに急速に「水素ガス」を充填すると、断熱圧縮により温度が上がるため、タンク温度の上昇を避けるためにあらかじめ水素をプレクーラーで冷やしておき、ディスペンサーから供給する仕組みとなっています。
4.水素ステーション普及促進の取り組み
2014年、日本は世界に先駆けて燃料電池自動車(FCV)を商用化しました。走行には水素が必要なため、「水素ステーション」の整備を進め、2023年10月時点で全国160箇所以上の「水素ステーション」が運用されています。
しかし、燃料電池自動車(FCV)の商用化から10年近く経て、燃料電池自動車(FCV)の普及率、「水素ステーション」の件数ともに、理想的な数には達していないのが現状です。まだまだ、燃料にガソリンを必要とする車両が圧倒的に多いのです。
燃料電池自動車(FCV)の普及を進めるには、全国どこにでも「水素ステーション」があり、燃料の心配なく走行できることが必須です。
政府は『経済産業省資源エネルギー庁 新エネルギーシステム課 水素・燃料電池戦略室』において「水素ステーションの整備」を進めるとともに、『水素ステーション設置を促す補助金制度』を実施し、整備費用の一部を補助することで、「水素ステーション」の設置拡大を促し、2030年までに1000基の水素ステーションを設置することを目標に掲げています。