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国際的なゼロエミッション車(ZEV)への移行 | 特殊車両ならトノックス

2021年10月31日に開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(通称:COP26)において、イギリス、オランダ、カナダなどの有志国と大手自動車メーカー6社などが、2040年までに世界全体で販売する新車すべてを、二酸化炭素(CO2)が排出されない「ゼロエミッション車(ZEV)」にすることで合意しました。

1.HV含むガソリン車販売2040年までに停止

COP26のCOPとは「Conference of the Parties」の略で、日本語では「締約国会議」と訳されます。つまり「条約を結んだ国々による会議」という意味です。COP26の決定によって先進国は35年まで、途上国は40年までに、乗用車と大型車の全ての新車販売を「ゼロエミッション車(ZEV)」のみとされました。日本の自動車メーカーが得意とする「ハイブリッド自動車(HV)」も含めて内燃機関を搭載している自動車の販売は禁止されます。

イギリス、カナダ、ニュージーランド、スウェーデンなど、合計23カ国が合意したほか、韓国ソウル市や、独自の「ゼロエミッション車(ZEV)」規制を設定しているカリフォルニア州、ワシントン州など39の地域が同意しました。

日本は、アメリカ、ドイツ、中国などとともに参加を見送りました。COP26で演説した岸田文雄首相は「あらゆる技術の選択肢の追求」が重要との見方を示し、脱炭素化に向けて「電動車(EV)」へのシフト一辺倒となっている現状に疑問を示しました。

日本の「ゼロエミッション車(ZEV)」への課題日本の「ゼロエミッション車(ZEV)」への課題


2.日本の「ゼロエミッション車(ZEV)」への動向

日本政府は50年のカーボンニュートラル社会実現に向けて、35年までに新車販売を100%電動化する計画を掲げ、低燃費の「ハイブリッド自動車(HV)」も環境対応車として選択肢に残しており、COP26の合意内容と隔たりがあります。

大手自動車メーカーは「アジアやアフリカ、中東など、(充電設備など)電動化を推進する環境が整っていない多くの地域では、ゼロエミッション車(ZEV)化に相応の時間を要する」として現段階での宣言への参加を見送った理由を挙げていました。

また、自動車の巨大市場を持つ中国やアメリカは今回の宣言に加わっていません。ただ、地球温暖化防止に向けて気温上昇を産業革命前から1.5度に抑える目標を達成するため、販売する新車を「ゼロエミッション車(ZEV)」のみに規制する国や地域は増える見通しです。

国内では、40年に新車販売を「ゼロエミッション車(ZEV)」のみにすることを公表している自動車メーカーもあり、COP26の宣言以降、グローバルで事業展開する自動車メーカーが「ゼロエミッション車(ZEV)」シフトへの対応を迫られるのは必然のようです。


3.「ゼロエミッション車(ZEV)」へ向けて具体的な施策

2021年10月31日に開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(通称:COP26)の合意では、日本やアメリカなどが署名を見送りましたが、萩生田光一経済産業相は同年11月21日の会見で、「登り方の違いであり、分断には至らない」とあくまで電動化に否定的でない認識を示しました。

政府は’20年末に策定した「グリーン成長戦略」で「ハイブリッド自動車(HV)」を含む電動車普及への立場と主張を明らかにしています。2021年6月の改定版には「2035年までに乗用車新車販売で電動車100%」と改めて示しており、国内での布石を徐々に打ち始めています。

経済対策として、電動化推進に不可欠な蓄電池の製造基盤確立に向けて、国内での大規模投資に対する補助やサプライヤーの業態転換支援などを盛り込む形で調整しました。例えば、次世代蓄電池やモーターの開発で最大1,510億円を投じる研究開発プロジェクトに着手したことを2022年4月に公表しています。産業構造の転換や新たな基盤構築へ向けての具体的な施策に着手していることがうかがえます。


4.次世代蓄電池・次世代モーターの開発

経済対策には充電インフラや水素ステーションの整備支援も盛り込まれていますが、走行距離や寒冷地対策など、利便性の不安を解消できるかも課題です。

グリーンイノベーション基金事業の一環として2022年4月19日に開始された「NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクト」では、蓄電池やモーターシステムの性能向上とコスト低減のほか、材料レベルからの高性能化・省資源化、高度なリサイクル技術の実用化に向け、技術課題の解決に取り組んでいます。

この取り組みによって、自動車の電動化を支える技術や蓄電池・モーターの産業競争力を強化するとともに、材料やリサイクルを含めたサプライチェーン・バリューチェーンの強じん化を目指します。