米中の『自動運転』技術開発における競争③ | 特殊車両ならトノックス
1.アメリカの自動運転技術
前回「米中の『自動運転』技術開発における競争②」で述べたように、アメリカの自動運転における代表的な企業は、「ウェイモ(英: Waymo)」です。
自動運転技術開発のプロジェクトは、スタンフォード人工知能研究所で元ディレクターのGoogleエンジニアであるセバスチアン・スランと、Googleストリートビューの発明者が共同で主導しています。
自動運転車の「スタンレー」を製作したスタンフォード大学のチームは、2005 DARPA グランド·チャレンジ(ロボットカーレース)で優勝し、米国防総省からの賞金200万ドルを獲得しました。
また、Googleは公道での自動運転の実験走行を法律で受け入れてもらうために、米国のネバダ州でロビー活動を行い、その後、ネバダ州は自動運転車の運転を可能にする法律を2011年6月29日に可決、2012年3月1日から施行しました。ネバダ州のDMV(陸運局)は、Googleが自動運転車に改造したトヨタ・プリウスに、2012年5月8日、自動運転車専用のライセンスを米国内で初めて発行しました。
2012年4月にはフロリダ州でも公道での自動運転車の実験走行が受け入れられ、カリフォルニア州ではジェリー・ブラウン知事がGoogle本社で法案に署名をし、事実上で自動運転車の実験走行が受け入れられた第三番目の州になりました。
アメリカでの自動運転合法の地域を緑色で表した図をご覧いただければわかるように、カリフォルニア州、ミシガン州、フロリダ州、ネバダ州、アリゾナ州、ノースダコタ州、テネシー州、コロンビア特別区、ユタ州でも許可されるなど、2016年時点ですでに多くの州で自動運転のテスト走行が許可されています。
「ウェイモ(英: Waymo)」は、2018年12月にはアリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーの有料配車サービス「Waymo one」をスタートさせ、世界に先駆けて自動運転タクシーを実用化し、自動運転時代の口火を切りました。当初は安全を確保する必要があり、セーフティドライバーが同乗してサービスを提供していましたが、オペレーターなしでのサービス提供も試験運行しています。
また、2019年1月には、提携する自動車メーカーから購入した車両を改造して自動運転車を生産する工場の建設も発表しています。
物流分野への自動運転技術の導入にも力を入れており、独ダイムラートラックとのパートナーシップのもと、自動運転トラック「Waymo Via」の実用化に向けた取り組みも加速させています。
2021年には、サンフランシスコやニューヨークでも自動運転タクシーの実証実験を開始しており、自動運転タクシーのサービスエリア拡大に向けても注目を集めています。
2.中国のアポロプロジェクト
一方、中国の自動運転技術は、インターネット検索サービス大手である「百度(バイドゥ)」が2017年7月に大規模な自動運転車の開発連合の「アポロプロジェクト」を開始したことによって急速な成長を見せています。
「アポロ」とは、車両とハードウェアシステムを結び付け、百度の自社自動運転システムを構築するAIのことです。つまり、自社で自動運転技術の開発に取り組むのではなく、オープンソースの手法で自社技術の核心として、高精度かつ広範囲の地図データ、運転路線の決定・障害物感知・シミュレーションを行うツールなどをパートナー企業に提供するかたちです。
2017年12月末、「アポロプロジェクト」に参加する企業は90社を超え、中国企業を中心としつつも、日本からはルネサスエレクトロニクスとパイオニアが参画しており、海外からは米フォード・モーターや独ダイムラー、米エヌビディア、マイクロソフト、インテルなど自動車メーカーやIT企業が続々と加わっています。
百度によると、「アポロプロジェクト」に参画する企業は、アポロが蓄積した運転トレーニングデータやソースコードにアクセスが可能となり、個別のプロジェクトに適用できるとのことです。
百度は完全な自立走行をする自動車の開発を目指しており、2018年の時点で、
②2018年に無人運転シャトルバスの量産を開始
③2018年末にロサンゼルスで障害者に自動運転シェアサービスを試験的に提供、
④海外事業としてシンガポールと東南アジアで自動運転技術の商業化を推進する
という目標を掲げていました。
2022年8月8日には、ついに無人の完全自動運転ロボタクシーサービスの許可を当局から取得したと発表し、同日より初期段階として重慶と武漢の2都市でそれぞれ5台のロボタクシーを導入し、一般向けの有料サービスを開始します。
予め指定されたエリア(武漢では13平方キロメートル、重慶では30平方キロメートル)で、朝9時から夕方までの時間帯にサービスを提供します。
さらに、武漢では全長321キロの承認を受けた道路のうち、106キロの道路が特別な5G通信に対応し、離れた場所からの車両のモニタリングやリモート操作が行えるということです。
「百度(バイドゥ)」は、自社のロボタクシーサービスを「Apollo Go」と名付け、2022年の冬季五輪の会場でも人間のセーフティドライバーを同乗させた状態で試験運行しました。
2022年4月にはセーフティドライーバーを乗車させない完全自動運転のロボタクシー運行許可を、北京当局から取得したと発表しているものの、北京当局は、現在もなおセーフティドライーバーの同乗を求めています。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「米中の『自動運転』技術開発における競争③」、アメリカ「ウェイモ(英: Waymo)」の自動運転技術、中国「百度(バイドゥ)」のアポロプロジェクトについてご紹介いたしました。
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