株式会社トノックス|神奈川県の特装車工場

  • 会社概要
  • お問合せ
  • 特殊車両
  • 塗装
  • レーザー計測
  • レストア

過去に活躍した特殊な消防車両 | 特殊車両ならトノックス

1.現行でない特殊な消防車両

横浜市消防局で使用されていた排除工作車と耐熱装甲型救助車 (Wikipediaより)横浜市消防局で使用されていた排除工作車と耐熱装甲型救助車 (Wikipediaより)


全国の消防局では、既に廃車になっていますが、かつて様々な活躍を見せた特殊な消防車両がいくつも記録されています。
その特殊な消防車両について、どのような災害現場や特殊な状況に対応する機能を持っていたか、現在はどのような姿へと変化しているかなどを見ていきたいと思います。


2.耐熱装甲型救助車

火山噴火災害に備えて政府から北九州市消防局と横浜市消防局に配備されていた車両です。ベースとなった車両はドイツ、ヘンシェル・ヴェアテクニク社製のTM-170装甲兵員輸送車で、危険な災害現場における消防・突破救出活動を目的としたものです。

6mmの耐熱板、車体を冷却する自衛噴霧装置、放水銃、空気が抜けてもしぼまない構造を持ったランフラットタイヤ、障害物の排除を行うドーザー装置などを搭載し、その名の通り600度の熱にも耐える躯体をなっています。

車内を陽圧にする機能も備わっており、化学災害などにも対応できるほか、総重量約13トンの巨体ながら最高時速は100キロに到達する走行性を持っています。
横浜市消防局に配備されていた同型車は、いかなる災害にもひるまぬ力強さを持つその姿から、横浜市民327万人(当時の人口)を守る意味を込めて「スーパーファイター327」との愛称が付けられましたが、2009年惜しまれつつも廃車となりました。

2000年の有珠山噴火災害の際、緊急消防援助隊として派遣され、警戒区域内に取り残された男性を救出した活躍で知られています。
また、かつて東京消防庁にもウニモグベースの自衛噴霧装置や耐熱板を装備した「耐熱救難車」と、ドーザー装置や20名収容可能な機能を加えた「防災機動車」が配備されていたことがあり、有珠山噴火災害や三宅島火山活動に派遣されました。


3.水陸両用車

その名の通り、陸上では車両、水上ではモーターボートになる特殊車両です。
初代は横浜市消防局に水難救助車として配備されていました。舟形に車軸と四輪が付いた形態で、胴体下部が赤色、胴体上部(窓の周囲)が白のツートンカラーでした。

消防で最後まで水陸両用車を運用していたのが千葉県市川市消防局で、ここに配備されていた車両は横浜市消防局と異なり、ドイツ・RMA製の「アンフィレンジャー2000」でした。アンフィレンジャーは1990年前後に少数が官公庁向けに輸入・販売された車両で、市川市消防局は1991年に同車を導入しています。ちなみにこの車両は鎌倉市消防本部や警視庁機動隊にも水難救助車として導入されていましたが、いずれも廃車となっています。

なお進水した際には船舶扱いとなるため小型船舶操縦士免許が必要です。
東京消防庁では東日本大震災を教訓に、青梅消防署に「泥濘地搬送車」として水陸両用の「バギー(ARGO・アーゴ)」を配備し、総務省消防庁も同じく2013年度より緊急消防援助隊の車両として水陸両用の「バギー(ARGO・アーゴ)」を積載した「津波・大規模風水害対策車」を全国各地に配備しました。

この水陸両用のバギーは消防大学校消防研究センターで試験運用や改良研究が重ねられ、全国配備されたことで、2014年8月の豪雨による広島市の土砂災害や2915年9月関東・東北豪雨による災害救援活動でも活躍しました。

2019年には総務省消防庁から緊急消防援助隊用として千葉県山武郡市消防本部と徳島県板野東部消防組合に米国・HYDRATREK社製の「装軌式水陸両用車(通称:全地形対応車II型)」が貸与され、配備されています。


4.レスキュータワー車

垂直に伸びる四角錐鉄塔型ハシゴを装備したレスキュー車です。通常型はしご車が活動できない狭隘路での低中層建築物救出に使用されていました。

最上部にあるバスケットは指揮台として利用され、救助者は救助袋や別のハシゴを使って下へ降ります。この名を持つ消防車両で最も有名な車両が、1974年に導入された東京消防庁丸の内消防署有楽町出張所の車両です。完成間もない有楽町出張所に配備され1988年まで運用されていました。さらに1982年には、松山市消防局も西消防署に、新たにポンプを搭載した同名の車両を配備しています。「レスキュータワー車」の子孫とも言える大型バスケットを装備した12〜15Mクラスの高所作業車が相模原市消防局、奈良市消防局、神戸市消防局、加古川市消防本部、釧路市消防本部に配備されています。


5.その他

そのほかにも、ガス漏れ事故等に出動し危険物を取り除き、火災の際のガス検知などを実施する「ガス対策車」(現在では民間のガス会社や普通の消防自動車にも小型の検知器が積載されたため、減少した)、過去に東京消防庁にあった放射能対策隊が運用し、現在は「特殊災害対策車(HAZ-MAT)」として後続されている「放射能対策車」、河川や下水道などからの水の汲み上げ等で水利確保する車両で大型ポンプ2基搭載等し過去に北海道内の赤平市消防本部に「特殊消防対策車」という名称で配備されていた「排水ポンプ車」(現在は、国土交通省の各地方整備局が1台で一般的な消防自動車約10台分の排水が可能な排水特化型ポンプ車を多数保有し代用)、1974年大阪市消防局北消防署に2両配置された地下街での火災における要救助者救出のためレーダーと触知装置を搭載した「耐煙救出車」などがあります。


5.まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、かつてさまざまな目的のために特化し活躍していた特殊な消防車両について、いくつかご紹介しました。

トノックスは、小型から大型まであらゆる特装車を開発・製造しております。その他、計測解析業務・レストアなど、個人のお客様のご相談から、国の行政機関・公共団体のご相談まで幅広く対応、多数の受注実績があり、企画・設計から、製造・整備まですべて自社にてまかなえる一貫体制が整っています。

当社では昭和23年の創業より働く車、特殊車両の専門メーカーとして創業70周年を超え、多数のノウハウ・実績がございます。詳しい内容をご希望の方は、お気軽にトノックスまでお問い合わせください。
ご相談お待ちしております。