自動車業界の新たな潮流と求められる進化 | 特殊車両ならトノックス
自動車業界では、電気自動車(EV)、水素自動車、自動運転、カーボンニュートラルに向けた取り組みの他にも、いくつかの重要な潮流があります。
これらの動きは技術革新、消費者ニーズの変化、そして規制環境の影響を受けており、業界全体を変革しつつあります。
今回は、そういった自動車業界の新しい変革の流れについて考察します。
Lucid electric vehicle in salon in downtown of Vancouver.
コネクテッドカー(車両のデジタル化)
まず、最初に挙げられる流れとして、自動車のデジタル化があるでしょう。デジタル化はあらゆる領域で急速に進んでおり、自動車の分野も例外ではありません。
デジタル化された車両は「コネクテッドカー」としてインターネットに接続され、リアルタイムの情報をやり取りできるようになっています。これにより、車両間通信(V2V)・車両インフラ間通信(V2I)が実装され、車同士、または交通インフラと通信して、事故防止や渋滞回避が可能になります。
また、リアルタイムデータの共有によって、渋滞情報や天候状況をリアルタイムで反映させた運転ができるほか、車載ソフトウェアを自動でリモートアップデートすることにより、常に最新のシステム状態を維持できるようになります。
FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES
「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」は、俳優の哀川翔が総監督を務めるラリー競技チームです。TOYO TIRE株式会社がメインスポンサーを務めており、2018年より活動を開始。ドライバーはD1ドライバーの川畑真人さんが起用されています。
コドライバー(※)はD1グランプリに出場しているデイチャポン・トオインチャロン選手が起用されています。
※コドライバー(Co-driver)とは、ラリー競技においてドライバーとチームを組んで、主にナビゲーションを担当する助手席の役割を担う人のことです。ラリーは一般的なレースと異なり、変化に富んだ自然のコースや未舗装路を走行するため、コドライバーはレースの成功に欠かせない存在です。
2024年仕様のAXCR出場マシンは、V6 4.0リッターガソリンモデルのランドクルーザープラドで、タイヤはTOYO TIREの「オープンカントリーM/T」が装着されています。トノックスがサポートしたチーム「FLEX SHOW AIKAWA Racing」は2011年からこの大会に参加しており、今回2019年以来5年ぶりに参戦しました。
2024年8月11日から17日にタイ王国で開催された「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)2024」では、2019年以来5年ぶりに参戦し、劇的な逆転劇でクラス優勝の栄冠を掴みました。
シェアリングエコノミー(モビリティサービスの発展)
次に、個人や社会の車に対する概念も変化しています。
「所有から共有へ」というモビリティの意識が進行しており、個人が車を所有せず、必要な時に利用する「モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)」の考え方が普及しつつあります。これにより「カーシェアリング」と呼ばれる短期間の車両レンタルサービスが広まっており、都市部での車所有の必要性が減少傾向にあります。
UberやLyftなどのようなオンデマンドで車を利用できるサービス、「ライドシェアリング」も人気が高まっています。
そのほか、毎月一定料金で複数の車種を利用できるサービス「サブスクリプションモデル」が増加しており、消費者に柔軟な選択肢を提供しています。
ソフトウェアとAIの重要性の増大
自動車の開発において、ソフトウェアや人工知能(AI)の役割が急激に重要になってきていることも軽視できません。これにより、自動車産業が従来の「ハードウェア」中心から「ソフトウェア」中心へとシフトしています。
「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」によって、自動車の機能の多くがソフトウェアで決定されるようになり、定期的な機能更新が可能になります。テスラなどは、この分野でいち早く技術を取り入れ、業界をリードしています。
また、車両のセンサーから得たデータを分析し、部品の劣化を予測して適切なメンテナンスを提案するAIによる予防保守システムが増加しています。ヒューマンエラーを回避し、安全な自動車社会を確立するためのテクノロジーとして期待されています。
マルチパワートレイン戦略
自動車メーカーは、電気自動車や水素自動車に加えて、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車(PHEV)、さらには伝統的な内燃機関(ICE)車も引き続き開発しています。
これらは、各市場や地域条件によって異なるニーズやインフラ状況に対応するためです。
ひとつのパワートレイン技術に集中するのではなく、多様な選択肢を提供することで、段階的な脱炭素化を目指しているのです。
また、内燃機関を温存しつつ、CO2排出量を削減するため、再生可能エネルギーから生成される合成燃料(e-fuel)の研究も進んでいます。
循環型経済(サーキュラーエコノミー)と持続可能な製造
カーボンニュートラルの一環として、自動車のライフサイクル全体における持続可能性が重要視されています。特に、車の製造プロセスや材料のリサイクルに関する取り組みが強化されています。
例えば、プラスチックや金属などのリサイクル材を使用し、車両の製造時の環境負荷を軽減するほか、電気自動車の普及に伴い、使用済みバッテリーのリサイクル技術の進展が急がれます。目下、リチウムやコバルトなどの希少金属の再利用が課題となっています。
製造過程でのエネルギー使用を効率化し、工場自体のカーボンフットプリントを削減する動きも広がりを見せています。
顧客体験の強化(UXの進化)
消費者のニーズや期待値が変わり、車両そのものの性能だけでなく、車内でのユーザー体験(UX)や接続性が重視されるようになっています。
例えば、車内でのエンターテインメントや情報提供システムの進化により、「インフォテインメントシステム」と呼ばれるタッチスクリーンや音声コントロール、スマートフォンとの連携が強化されています。
また、AR(拡張現実)ディスプレイを活用した、フロントガラスにナビゲーション情報や警告を表示するARヘッドアップディスプレイなども考案されています。
スマートホームとの連携、スマートフォンを鍵代わりに使用する機能など、車とデジタルライフの統合によってシームレスな体験を求める動きが高まっています。
グローバルな規制と安全基準の強化
各国で環境規制や安全基準が厳格化されており、自動車メーカーはこれに対応するために技術開発を進めています。
ひとつには、「排出規制の強化」があります。 CO2排出量に対する規制が強化され、電気自動車やハイブリッド車の普及努力を求められています。
また、自動ブレーキシステム(AEB)、レーンキープアシスト、衝突回避システムなどの先進運転支援システム(ADAS)の導入によって、安全基準の向上も重要課題となっています。
これらの潮流が自動車業界を急速に変革させるとともに、持続可能で技術的に先進的な未来を目指して進化することを期待されているのです。