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次世代に注目のナトリウムイオン電池とは | 特殊車両ならトノックス

EVのバッテリー材料として注目を浴びている「リチウム」。いま「白いダイヤ」とも呼ばれるこの希少な鉱石ですが、なぜEVのバッテリーに抜擢されているのでしょうか。

今回はリチウムイオン電池の「リチウム」、そして次世代電池として期待されている「ナトリウムイオン電池」について簡単にまとめてみます。

1.カーボンニュートラルは「鉱物の時代」を呼ぶ

カーボンニュートラルが叫ばれて久しい昨今ですが、その意味は意外と知られていないのでしょうか?最初にカーボンニュートラルをおさらいしておきましょう。

カーボンとはすなわち「炭素」のこと。温室効果ガスの代表格と言われる二酸化炭素、一酸化炭素の排出を全体としてゼロにしていこうという動きが、カーボンニュートラルです。また、排出せざるを得なかった分については、同じ量を吸収または除去することで、差し引きゼロにしようと目指すものです。

地球環境への配慮が世界的に急務となり、そうしたなかで電気自動車(中でもゼロエミッション車)が注目を浴びるようになったのでした。

電気自動車は発明されたときからバッテリーが最も大きな課題でした。

簡単に電気自動車の歴史を振り返りますと、電気自動車はガソリン車よりも登場が早く、1830年代に充電不可能な一次電池が搭載された電気自動車が発明されました。そして1886年にはイギリスで発売され、1899年には初の時速100kmを突破するなど、大きな期待と注目を集めていました。

発明王エジソンも電気自動車のさらなる改良に乗り出しました。エジソンは、ニッケル・アルカリ蓄電池を開発し、電気自動車に搭載しました。それまで鉛蓄電池搭載で走行距離が80km程度でしたが、エジソンの発明で160kmを走行できるようになりました。

しかし広大な国土を誇るアメリカにおいては、蓄電できる電気量の限界から航続距離の短さが克服しにくいという問題となり、ガソリン車にその地位を奪われることとなりました。

けれどもオイルショックや環境汚染に端を発し、電気自動車に再び注目が集まります。
それは携帯電話やゲーム機、小型電子機器の登場に使われるようになった「リチウムイオン電池」の登場で、「より軽く、より小型で、より大容量のバッテリー」の目途が立ったからでもあります。

さて自動車のEV化を求めるカーボンニュートラルには「鉱物」が必要で、それも「大量の鉱物」が必要となることはご存知でしょうか。
実はEVに使われるバッテリーは、「鉱物」でできています。
それはたとえば「銅」「ニッケル」「コバルト」といった従来のものも含みますが、今最も注目を浴びているのが「リチウム」です。それは希少であるため、「白いダイヤ」とも呼ばれています。

こうした「鉱物」をめぐって、国や企業が相次いで確保に走っていますが、日本は出遅れた感が否めません。
実際、電池に必須の「グラファイト」を中国が輸出制限をかけるなど、「鉱物」をめぐって攻防戦が行われています。世界の覇権は「巨大石油メジャー」から「巨大鉱山会社」へ移るとさえ、言われているのです。
ですが、日本では確信が持てないままに競争に入るタイミングを見逃してきた経緯があります。

リチウムの元素記号 〜リチウムの重要性〜リチウムの元素記号 〜リチウムの重要性〜


2.リチウム電池はなぜ注目されている?

では、鉱物の中でも特に熾烈に競争が行われる「リチウム」が、なぜそこまで注目を浴びているのでしょうか。

20世紀では石油を握ったものが富を手に入れてきましたが、それがいま「リチウムイオン電池」に変わったと言います。

EV自動車のコストのほとんど半分が電池であり、世界各国が電動化に高い目標を掲げていますから、このままEVが普及すればそれだけリチウムイオン電池が必要になります。
リチウムイオン電池には「リチウム」が必要です。それでは、「リチウム」の特徴をあげてみましょう。

・とにかく軽い
・金属元素の中で最軽量
・イオン半径が小さい

「リチウム」はレアメタルと呼ばれていますが、実際のところ埋蔵量はあるものの、生産地に偏りがあることが問題の一つに挙げられます。

生産量で見ますと、オーストラリアが一位で61000万トン、次いでチリが39000万トン、三位が中国で19000万トンとなっていますが、実はさらに問題なのが、精錬の問題。
精錬のトップは断トツで中国となり、そのシェアは65パーセントを占め、次いでチリが29%、アルゼンチン5%、その他1%となっています。
つまり、リチウムイオン電池を中国が一手に引き受けていることになります。

各国が一斉に「重要鉱物」と呼ばれる鉱物の確保に乗り出しており、欧州米国、オーストラリアでは「脱中国」を掲げてのリチウム生産に加え、精錬確保の動きを加速させています。

一方の日本では、4,5年前にまだ投資しやすかった金額のリチウム投資でしたが、国内自動車メーカーはEV普及の未来に確信を持てなかったという話もあり、このため企業として出遅れ感は否めません。さらにその企業の姿勢に影響を受けたと思われる日本政府も現状、リチウムを輸入頼みとしています。


3.リチウムに頼らないルートは可能?

では、「リチウムに頼らないルート」はないのでしょうか。期待の全固体電池はどうでしょう。

実は「全固体電池」にも正極材にリチウムが必要なのです。
「全固体電池」はそもそもリチウムイオンの通り道である「電解質」を固体にした「リチウムイオン電池」ということで、液体電解質の電池よりも、燃えにくく、エネルギー密度が高く、充電時間も短く、電池の寿命が延びるなど高性能ではありますが、「正極」に「リチウムを含ませた金属化合物」が必要なのです(負極にはリチウムイオンを貯めておける炭素材料)。

また、それ以外で実用化が近いと言われているものが「ナトリウムイオン電池」です。
ナトリウムは海水からも作ることが出来るので、コストを大幅に抑えられると注目されています。しかしながら、車の走行距離にかかわるエネルギー密度の低さが課題となっています。

ナトリウムは周期表でリチウムの下にあり、同じアルカリ金属で、かなり似た性質を持っています。
日本でもナトリウムイオン電池は基礎研究では先んじていましたが、リチウムの高騰を受けて注目が集まり、中国企業が実用化で先行しているので、苦戦が強いられています。

この先もゼロエミッションにむけた自動車のEV化は重要視されると思われ、リチウムをめぐって国を挙げての開発競争が続くと予想されます。