特装車・車体架装とは?架装する意味と種類を解説② | 特殊車両ならトノックス
前編では、特装車・架装車とはどのような車体を指すかの基礎的な知識についてご紹介しました。後編では具体的な種類や役割などについてご説明いたします。
1.特装車の種類
特装車は、貨物自動車やトラックのシャーシの上に、一般的な屋根無しの荷台(平ボディ)ではなく、多種多用途な装備を架装したものやマイクロバスを改造した自動車のことなどを指します。 具体的にはアルミバン、冷凍冷蔵車、キャリアカー、タンクローリー、コンクリートミキサー、クレーン車などが挙げられます。
これらの車両は、自動車メーカーにおいて製造された「運転台(キャビン)と車枠(シャシー)」(=通称キャブシャシー)の状態で特装・架装専門メーカーに納入され、目的や用途に応じた装備の設計・製作・取付加工をし、改造車検を通したうえで納品されます。
完成車に対し自動車メーカー、あるいは架装メーカーによって、専用エアロパーツやエンジン、サスペンション等への換装、ボディの改造が施されて販売される車両についても、特装車として扱われる場合もあります。
2.架装車の種類
●平ボディ
フラット型(特に何も乗っていない状態)の荷台を持ち、積み上げや積み下ろしの利便性が高いのが平ボディです。
クレーンを装備したり、リアゲートをパワーゲートに変更したりと、状況に応じてさまざまなものを運搬できる汎用性の高いトラックです。
●アルミバン・パネルバン(バンタイプ)
荷台部分が箱型になっていて、運送に特化したタイプの車体をバンタイプやバンボディと呼びます。 これらの車体は、荷物を風雨や湿気から防いでくれるほか、平ボディの車体に比べ、荷台全体を箱で覆っている構造なので安定感が高く、多くのものを長距離運ぶことに向いている車体です。
この車体に、荷台内部の気温を保つために断熱機能を持たせたものが「保冷車」です。
●冷凍車・冷蔵車
荷台内部の気温そのものを低温に維持しておく機能を持ったタイプを「冷凍車・冷蔵車」と呼びます。
機械によって荷台の中の温度を低温に維持するので、外の気温に影響されることがない点がメリットです。
デメリットとしては、荷台に冷却専用の装置が必要で、アルミバン・パネルバンに比べ高額だったり、冷却のための燃料が必要だったりとそれなりに費用のかかる点があります。
●幌車
幌車はアルミバンやパネルバンと同様、運送目的に使用されるトラックです。
箱の材質が「幌(ホロ)」と呼ばれる特殊な布製のものになり、軽量化することで乗せられる荷物の積載量を増やすことができています。
また、アルミバンやパネルバンのように箱の素材が金属でないことによって、価格も安くて済むというメリットがあります。
デメリットとして、風雨や降雪、湿気に弱く、穴が開いてしまったりすることもある等、強度面では劣っている点があります。
●ダンプトラック
トラックの架装の中でも、平ボディ、バンタイプの車両とともに有名なのがこのダンプトラックと呼ばれる車体です。
ダンプトラックは、荷台を傾けることによって積荷を一斉におろすことができるのが特徴です。
傾ける方向が後方なら「リアダンプ」、横方向なら「サイドダンプ」、横と後ろの3方向に傾く場合は「三転ダンプ」とそれぞれ呼ばれています。
また、ダンプする荷台が深く、同じ最大積載量でも比重の軽いものをより多く載せることができるように設計されたものを「深ダンプ」、荷台が傾きながら後方にスライドして地面に接し、小型の重機などを乗せられる形状の車両を「スライドダンプ」と呼んでいます。
土木建設から農業、運送業まで場所や業界を選ばずに活躍している架装車です。
●高所作業車
電線の管理や建造物の調査修繕などを行うときに活躍しているのが高所作業車です。
トラックの荷台に作業員が乗る作業ボックスとそれを持ち上げるアームが装備され、角度を変えたり伸縮したりすることによって高所での作業に対応しています。
●パッカー車
パッカー車はゴミ収集車や塵芥収集車とも呼ばれます。
車体の荷台部分にゴミを収集するための装置があり、一度に大量のゴミを回収・運搬できる構造となっています。
●ミキサー車
架装部分に「ミキシングドラム」と呼ばれるドラムを装備しています。
ドラム内部で常に生コンクリートを攪拌することで、工場から現場まで生コンクリートを劣化させることなく運搬することが可能です。
●タンクローリー
タンクローリーは、液化ガスや薬品・水などのさまざまな液体、細かく砕いた粒子状のものを運ぶための車両です。
タンクローリーを運転するためには、運転免許の他に運ぶ物に応じて「危険物」や「毒物」などの資格を取る必要があります。
水を運搬し、運んだ水を周りに放水する機能を持った「散水車」というタイプのタンクローリーもあります。
3.まとめ
後編では特装車・架装車の種類をご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
様々な目的や時代の変化に合わせてより効率的・機能的に改良され、現在の特装車・架装車の形があります。そう考えると技術者の試行錯誤や最善の品質を追求していく姿勢と取組みが垣間見えた気がします。
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