株式会社トノックス|神奈川県の特装車工場

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トノックスの変遷と事業拡大の実現③ | 特殊車両ならトノックス

1.事業譲受による飛躍

トノックス工場トノックス工場


前回の記事では、株式会社トノックス(以下トノックス)が現在のように事業の多角化に至った一つ目の理由、「自社の強みを強化する施策」として、大手自動車会社系のサプライヤーから系列以外の仕事を受注するようになった経緯をご紹介いたしました。
今回は、主として二つ目の理由「ベストなタイミングでの事業譲受により、自社にはない技術を獲得するため」に行ったいくつかの事業譲受と、計測事業への進出についてご紹介したいと思います。


2.事業譲受による周辺技術および市場の獲得

トノックスは、前回ご紹介した様々な多角的事業への取り組みにおいて、輸入車販売部門やレーザー計測事業部門にも進出しています。多角化といっても資源展開のパターンは異なっており、たとえば多角化の類型として、大きくは5つ、細かくは7つのパターン(専業型・垂直型・本業中心型、その中で集約型・拡散型、関連型の中でも集約型・拡散型、そして非関連型)に分けられます。

その分類で考えると、輸入車販売事業は関連・拡散型であり、レーザー計測事業は非関連型の多角化を意味しています。このような多角化は、事業譲受による外部資源の獲得によるところが大きく、獲得した事業部門でも「輸入車販売部門」は熟練の技とのシナジー効果により事業が拡張している一方で、「レーザー計測事業部門」はト ノックスのコア・コンピタンス(活動分野において競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力、或いは競合他社に真似できない核となる能力)では対応ができない関連性のない事業領域です。

言い換えれば、「輸入車販売部門」については特架車の開発や製造を実践することによって、自社技術を蓄積・進化させ、関連分野への多角化を成し遂げてきた経路依存的な事業譲受の形です。

非関連型事業の事業譲受は、社会情勢の変化に適応した資源獲得によるものであって、その資源獲得の過程にはトノックスとは特に強い取引関係のなかった異業種の大企業が行った「選択と集中」の結果、意図せずして展開することになった事業もあります。

まず一つ目の関連拡張型事業として、大手輸入販売会社の事業売却を受けた「クラシックカーのレストア部門」の事業譲受が挙げられます。これは2003年(平成15年)トノックスの関連会社ヤナセテックの創業に展開されました。

元々、輸入車の出荷前納車点検整備や車検整備を行っていたトノックスは、輸入車に限れば大手輸入販売会社の競合となり得る存在でした。しかし、輸入車の販売に特化する戦略に舵を切った大手輸入販売会社は、レストア部門の売却に踏み切りました。

なお同年、大手輸入販売会社は第三者割当増資を実施し、経営基盤強化を図ると共に同社の関連会社を設立、高級海外ブランド車の販売を開始しています。
さらに、トノックスの関連会社であるワイ・エンジニアリングは、2005年(平成17年) に大手輸入販売会社よりメルセデス・ベンツの作業車を取り扱う機械事業部の営業を譲り受け、メルセデス・ベンツブランドの商用車ウニモグ等の輸入販売を開始しました。
トノックス同様、ヤナセテックとワイ・エンジニアリングも主要な取引先は共に防衛省や国土交通省関係となっています。


3.計測事業への進出

これまで特架車の技術を積み上げてきたトノックスは、2011年(平成23年)に新たな事業分野に進出することとなります。平塚市の大手建設機械会社グループ会社 (以下A社)から路面性状計測車の製造・メンテナンスおよび路面性状の解析事業を継承したのです。

これまで経験のない土木分野に進出することとなったこの事業継承の背景にも、大手建設機械会社の「選択と 集中」による小規模事業からの撤退があったものの、この計測事業は単なる事業譲受ではなく、同社が切り拓いた市場と技術を継承するための正統性が求められる非常に難しいものでした。

A社による路面計測車の開発は1980年代からスタートしました。従来存在しなかった技術を試行錯誤で開発し製品を市場に投入してきた結果、事業撤退が決まった段階では計測 データの解析も含めると年間数億円規模のビジネスとなっていました。

主な取引先は ネクスコ(日本道路公団:JHの民営化により発足した高速道路についての特殊会社3社の総称)や JR (日本国有鉄道の分割民営化により発足した鉄道事業者を中心とした企業群の総称)で、製品は比較的大型の車両にA社が開発したレーザー光線を発する機械と、反射されたレーザーを受けるパーツ、これらのデータを蓄積するサーバー、起動する ためのバッテリー等を搭載した車両です。同社はこれらを車両に特装する技術を持つ 企業に1台ずつ発注しており、トノックスはこの特装を受注する企業のうちの一社でした。

大手建設機械会社の中央研究所は平塚市万田に立地し、計測事業はこの研究所で生まれました。建設機械の研究が主流であった研究所の中で、計測や検査の装置を研究していました。

開発当初、土木業界では道路や橋梁等の破損状況は定量的に計測されておらず、職人の目視や打音検査が行われていましたが、ある事故を境に建設省から路面のひび割れや形状を走行しながら測定したいとの要望が公募され、大手建設機械会社は協力会社と共にエントリーし試作をした結果、競合はなく建設省のお墨付きを得、1988年から関連会社(のちのA社)で販売を開始しました。

2008年のリーマンショック直後、自動車産業の生産量が激減したのに伴い、産業用機械の出荷も減少しました。その後、中国やブラジル等での自動車生産量の増加による産業用機械の需要増加を見込んで、かつ建設機械部門での技術力強化を図る目的で、2011年4月に、大手建設機械会社はA社の吸収合併及び工作機械事業を担当する大手建設機械会社の子会社2社の合併を決定しました。

そこで「事業の選択と集中」の結果、撤退が決まったのが計測事業だったわけです。22010年11月16日の取締役会で合併案が可決されてから翌年3月末までの間に、A社は事業の整理をする必要に迫られていたのです。


4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、トノックスが「ベストなタイミングでの事業譲受により、自社にはない技術を獲得するため」に行った事業譲受の内容と、計測事業への進出の経緯についてご紹介いたしました。
次回以降は、計測事業への進出のための課題達成や、その後の取り組みなどについてご説明していきたいと思います。

トノックスは、小型から大型まであらゆる特装車を開発・製造しております。その他、計測解析業務・レストアなど、個人のお客様のご相談から、国の行政機関・公共団体のご相談まで幅広く対応、多数の受注実績があり、企画・設計から、製造・整備まですべて自社にてまかなえる一貫体制が整っています。

当社では昭和23年の創業より働く車、特殊車両の専門メーカーとして創業70周年を超え、多数のノウハウ・実績がございます。詳しい内容をご希望の方は、お気軽にトノックスまでお問い合わせください。
ご相談お待ちしております。