過酷な環境で活躍する救助車② | 特殊車両ならトノックス
1.特殊な環境下での救助
東京消防庁の山岳救助車(Wikipediaより)
阪神・淡路大震災以降、人命救助の際に「発災後72時間が勝負」という言葉が頻繁に使われるようになり、「72時間が生命のリミットになる」という認識は多くの人に広がりました。
災害発生時の人命救助は、困難な環境下や危険な状況下において速やかに行われる必要があります。そのため、過酷な環境に対応できる装備や機動力を備えた救助車が開発され、活躍しています。
今回も、前回に引き続き、特殊な環境下で活躍する救助車をご紹介いたします。
2.山岳救助車
「山岳救助車」は、山岳救助に出動する救助車で、バスケットストレッチャー、登降器、登山用のヘルメット、靴、カラビナ(固定具の一種、金属リング)などの各種山岳救助用資機材を搭載しています。バスケットストレッチャーとは、高所、低所、狭所、視界不良等、危険が伴う現場活動において、通常の搬送のほか、宙吊り(縦吊り・横吊り)も可能な舟形の担架です。
山間部での悪路走破性を考慮し、四輪駆動車が多く用いられており、種車にはSUV、ミニバン型の車両が比較的多く見られます。「救助工作車」などを「山岳救助車」として兼任運用する消防本部も存在しています。
3.林野工作車
「林野工作車」とは、林野火災に対応した救助車です。水利が無いことを考慮したジェットシューターや、延焼拡大を防止するためのチェーンソーなどを積載しています。ジェットシューターとは、林野火災の残火処理などに適した、操作性の高い背負式消火水のうのことです。
山林を走行するのに適した四輪駆動車が多いのも特徴で、ベースとなる車両はトラック型が一般的ですが、ウニモグ等の高駆動な多目的作業用自動車をベースにした車両も存在しています。また、コンテナ式車両やシングルキャブの車両も存在します。
4.ホース延長車
「ホース延長車」は、ポンプ車等に搭載されている「ホースカー」を大型化させ、遠距離大容量送水装置(スーパーポンパー)を搭載した車両です。戦前までは、ホースそのものを運ぶための「水管車」も存在していました。
阪神・淡路大震災の際に、上水道の切断により消火栓が使えず消火活動に大きな支障をきたし火災の延焼を止められなかった教訓から、東京消防庁が消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)で運用するために開発されました。
総延長2000メートルにもおよぶ送水用の大口径(直径15cm)ホースを分割搭載しており、後述の送水車などと連携して海や湖沼、河川等の規模が大きい水利から火災現場へ送水することができます。ちなみに、配備されている消防本部によってはコンテナ式の「資材搬送車」としても運用できる仕様となっています。
5.送水車
「送水車」とは、通常型ポンプ車を大幅に超える揚水・送水力のポンプ=遠距離大容量送水装置(スーパーポンパー)を搭載した救助車です。消防水利の寸断が予測される震災時の延焼火災や、近くに消防水利のない山火事などに対応するために、遠方の海や河川等の巨大水源から、火災現場の直近で活動しているポンプ車などへ大量送水を行い、消火活動の支援をする車両です。
前述の「ホース延長車」と連携して送水作業を行います。消防本部によっては運用上強力なポンプを装備している「大型化学消防車」に「送水車」の機能を持たせ、「ホース延長車」と連携しているケースもあります。
また、堺市消防局に「多目的水利システム車」と呼ばれる同種の車両があり、2011年の東日本大震災では東京消防庁が宮城県気仙沼市の大火災及び福島第一原子力発電所事故の原子炉冷却放水活動に投入して活躍しました。「ホース延長車」と共に政令指定都市の自治体に配備が進められています。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、日本の消防車のうち、過酷な環境で活躍する救助車「山岳救助車」「林野工作車」「ホース延長車」「送水車」についてご紹介しました。
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