株式会社トノックス|神奈川県の特装車工場

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トノックスの変遷と事業拡大の実現④ | 特殊車両ならトノックス

1.計測事業継承の経緯と課題

トノックス工場トノックス工場


前回の記事では、トノックスが「ベストなタイミングでの事業譲受により、自社にはない技術を獲得するため」に行った事業譲受の内容と、計測事業への進出の経緯についてご紹介いたしました。
今回は、計測事業への進出における課題の克服や、その後の取り組みなどについてご説明していきたいと思います。


2.計測事業譲受に伴う課題の達成

A社は計測事業において、既に何件も計測車両を国などの主要取引先に納入しており、その後10年間のメンテナンスも 一貫して行っていましいた。そのためA社と同等レベルのメンテナンスが可能な会社に事業を継承しない限り、A社ならびに親会社の大手建設機械会社の評価を下げることになりかねないという課題を抱えていました。

A社は限られた期限の中で、これまで特装を発注していた企業を中心に、この事業の継承について打診して回りました。
トノックスがA社から事業継承の打診を受けたのは2011年1月10日で、それ以前に、A社は他社から事業引き受けを断られていたと言います。トノック スの経営陣はこの打診について直ちに社長に上申し、A社にはその日のうちに事業継承の意思決定伝えました。当時を振り返って、経営陣は「計測事業に社会的な重要性を感じた」 と事業継承に踏み切った理由を述べています。

しかし、事業を引き受けるにはトノックス側に当時、主に3つの大きな課題がありました。
ひとつに事業譲受のための資金を年度内に用意できなかったこと。これについては、 A社が支払い のタイミングを調整してくれることになりました。
2つ目に、計測を行うためにコアとなるレーザーや関連機械の知識や技術を持っていなかったこと。そこで、A社から開発やメンテナン スに係るデータや顧客のデータなど計測事業に関するデータを全て譲り受けると共に、3 名の技術者に移籍してもらうこととなりました。移籍した技術者に対する顧客企業の信頼は厚く、事業継承に伴う顧客とのトラブルを回避できました。
3つ 目の課題は、トノックスには特装の経験はあっても、計測車両をゼロから製作した経験が皆無であったこと。そのため、A社が受注していた4月以降の計測車両の製造は、トノックスから10名、A社から10名の混成チームで行うことになりました。A社がここまで綿密に事業を引き継ぐことで、企業規模は異なっていてもトノックスがA社および大手建設機械会社の一事業を継承する正統性を確実なものにしたといえるでしょう。


3.計測事業の社内展開における3つの取り組み

計測事業をトノックス社内で展開するにあたり、早速取り組むべきことが大きく3つありました。
ひとつ目は、これまでなかった「解析部門」の立ち上げです。計測事業は、計測車両の製造・メンテナンスのみではなく、所有する計測車でトノックス自ら計測を行い、データを解析したうえで発注元に納品する作業も行っていました。
そこで、データ解析担当の増員が必要でしたが、データ解析は緻密な作業を短時間で積み上げることで対応可能で、主婦層の短時間勤務が適していたため、新たに主婦層や女性の雇用が増えていきました。

2つ目は、新しい知識の獲得と新規顧客との関係性の構築です。
当初、トノックスが想定していた計測事業は特装車の延長線上のもので、いわゆる輸送機事業に近いものでした。しかし、実際は建設や土木の関連事業であり、かつ必要とされる技術は車を作るハードウェ アというよりむしろ光学的な技術や解析等に必要なソフトウェアに関する技術です。
また、計測車両の部品調達には、これまで付き合いのなかった分野の企業と取引する必要があり、製品を納品する先もこれまでと異なる土木部門の省庁や道路公団等でした。
計測事業で必要な知識、技術、取引先等の全てをA社から継承することで、トノックスで全く未開拓であった分野の資源を獲得することに成功しました。

3つ目は、計測事業の応用段階としての新たな製品開発です。A社が製造していた計 測車は比較的大型で、高速道路には向いていますが、山道や狭隘道路を走る事には適していませんでした。
特架車を得意とするトノックスは、2011年の東日本大震災や2012年の笹子トンネルの崩落事故を発端とする計測の需要増加に対応するため、計測車両の小型化を図っていきます。

これにより、事業継承の際はネクスコ(日本道路公団:JHの民営化により発足した高速道路についての特殊会社3社の総称)や JR (日本国有鉄道の分割民営化により発足した鉄道事業者を中心とした企業群の総称)等の大型需要のみに対応していた計測車両が、道路やトンネルを管理する地方自治体や他の団体等の要望にも応えることができるようになりました。

さらに、これまでは道路やトンネルのひずみを計測するのみでしたが、ネクスコと共同開発で道路の液状化のしやすさを計測する車両の開発も始まりました。


4.まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、計測事業への進出における課題の克服や、その後の取り組みなどをご紹介いたしました。
次回は、「なぜトノックスは事業の縮小と拡大を同時並行的に行い、事業転換に成功することができたのか?」という疑問について探っていきたいと思います。

トノックスは、小型から大型まであらゆる特装車を開発・製造しております。その他、計測解析業務・レストアなど、個人のお客様のご相談から、国の行政機関・公共団体のご相談まで幅広く対応、多数の受注実績があり、企画・設計から、製造・整備まですべて自社にてまかなえる一貫体制が整っています。

当社では昭和23年の創業より働く車、特殊車両の専門メーカーとして創業70周年を超え、多数のノウハウ・実績がございます。詳しい内容をご希望の方は、お気軽にトノックスまでお問い合わせください。
ご相談お待ちしております。